ライト文芸 古代日本 小説一覧
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薄闇の中、吉野ヶ里丘陵の南端に広がる平野を照らす篝火が、若きウズメの肌を妖しく浮かび上がらせていた。彼女はまだ二十歳にも満たぬ年頃だったが、その肢体はすでに成熟し、神々が泥土から削り出した彫刻のようにしなやかで豊満だった。
北九州の土に生まれざる異邦の血、東北地方の「蝦夷(えみし)」の血が混ざった彼女は、その異様なまでの美貌を授かっていた。背は高く、四肢は長く伸び、指先は細く白い。太い眉の下、二重の瞼に縁取られた瞳は深い黒を湛え、まるで夜の海のように見る者を吸い込む力を持っていた。耳たぶは大きく、鼻は広く、厚い唇は血の色を帯びて常に濡れているかのようだった。長い黒髪が背を流れ、風に揺れるたび、彼女の首筋から漂う甘い香りが周囲の男たちの理性を狂わせた。蝦夷の血は、彼女に頑強な骨格と野性的な魅力を与え、邪馬台国の民とは異なる異邦の気配を漂わせていた。
その夜、ウズメは巫女たちを率いて本州の山野を抜け、九州の佐賀県に広がる吉野ヶ里丘陵へと向かっていた。丘陵の南端には有明海が迫り、かつて縄文海進で海水が浸食した跡が残る遠浅の干潟が広がっていた。
文字数 39,761
最終更新日 2025.04.13
登録日 2025.04.08
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倭国大乱が起こる前の古代伯耆国。
国1番の美女と噂されるイヅモ族のアサギは、ヤマト族の皇子から嫁いでくるようにと命令を受けた。
母と娘の2人暮らし。申し出を断るも強制的に嫁がされることになり、妻木の里から伯耆国の都へ、幼馴染み2人を侍女につけて向かうことになる。
皇子は対面したアサギを気に入り、頬を撫でると甘い言葉を囁く。
アサギに対して甘々な皇子。
二人の間に子を授かると、もっと有利にことを運びたい頭領は、新たに側室を添わせることに。
更にはアサギのライバルとなる正妻を名乗る后が現れた。
そんな中、大王となった皇子は反勢力を退治するために出陣し、まだ幼いアサギの息子も戦に参加することになる。
文字数 123,739
最終更新日 2021.10.05
登録日 2021.01.06
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人は滝を昇ると龍となる。
オオヤシマに66ある龍の滝の一つ、イナバの村に住む女衛士、ヤヒロは、腕っぷしはあるが17にもなって独り身の嫁き遅れである。ある日、ヤヒロは密かに思いを寄せる村長の息子、ホオリが滝を昇ることになったと耳にする。
滝を昇る者の運命は二つに一つ。龍となって天に昇るか、力尽きて黄泉に下るか。人の世に戻ることは二度と無い。ヤヒロは自らが代わりに滝を昇ると村長に直談判するが……。
神代を知るものが未だいる時代、愛と龍の物語。
文字数 9,748
最終更新日 2018.03.10
登録日 2018.02.25
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