通訳官 小説一覧

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私の声で王子に求婚した妹へ、返事は私の手で伝えます

七日前、熱で声を失った妹に、リディアは自分の声を貸した。期限は、王宮の冬の音楽会が開かれる今夜の十二時。 ところが妹のセラフィナは、喉が治っても琥珀の首飾りを返さない。継母は母の遺した手話教室の土地を盾に、声の貸与を一年延ばせと迫る。 「あの方が愛したのはセラフィナの姿と、あなたの声。二つを合わせて、ようやく価値があるのよ」 声を奪われたまま王宮へ連れていかれたリディアは、指で伝えた言葉に、指で答えてくれる青年と出会う。宮廷通訳官のエドガー。かつて母の教室に通っていた、あの少年だった。 『では、必要な時は僕を呼んでください。あなたの言葉を、誰にも消させません』 偽の指印で出された更新申請、持ち去られた原本、閉じ込められた資料室。妹がリディアの声で王子に求婚するその場で、リディアは声ではなく自分の手で、真実を告げる。 奪われた声と母の教室を、自分の言葉で取り戻すまでの物語。
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