君といつまでも
岡山の酒造会社を定年退職した今井基弘は町外れの格安一軒家を購入、一人で暮らしている。
趣味は庭いじり。特に花壇中央に聳え立つ皇帝ダリアは端正の賜物だ。
元々、無趣味だった彼が園芸にはまったのは、高齢になってから結ばれた妻の影響である。
既に彼女は癌で他界。
ショックで精神錯乱した時期もあるが、過去の記憶を反芻し、妻の残した花壇に触れていれば辛くない。
とは言え、時には孤独を持て余す。
そんな折、飛び込んできたSNSの『友達申請』……相手は、基弘が三十代の頃につきあった女と似ている。
悪戯の可能性が最初に頭に浮かんだ。
元同僚・三枝は基弘にとって唯一の友人と言える存在だが、人騒がせな男で、何度も手酷くからかわれている。
それに、近頃は独身高齢者を狙い、見知らぬ美女が『友達申請』をしてきた後、金をだまし取られるケースが相次いでいるそうだ。
怪しい。
そう言えば先日、庭いじり中にお隣からと思われる妙な気配を感じ、猫の仕業と思ったけれど、あれも陰謀の一部では?
怖い。
だが、孤独の余り、見知らぬ女の『友達申請』に、つい手が伸び……
エブリスタ、小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しております。
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