隠し階層を見つけたので、帰り道は作りません
『荷物持ちと追放されたので、帰り道は置いていきません』の続編です。前作未読でも読めます。
追放から一年。わたし、テッサは王立探索院の主任座標術師になりました。仕事は、新しく見つかった迷宮に、帰り道の座標を刻むこと。
その未踏区画の奥で、わたしは隠された泉を見つけてしまったのです。
泉のほとりには、わたあめのようにまんまるの、ふわふわの生き物たち。魔素を食べて、泉を澄ませて、迷宮の底を静かに保ちながら、誰にも知られず幸せに暮らしていました。
道が繋がれば、この子たちの家は終わります。
だからわたしは、五年間座標を刻み続けたこの手で、初めて「刻まない」ことを選びました。測量記録に空白を残したわたしを、規定と査問会が待っています。「すべての発見は登録せよ」と。
——地図に載らないことと、存在しないことは、まったく違う。
記録に救われたわたしが、今度は、記録しないことで守る番です
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