沖田総司異聞 ―哭く剣、愛を知るまで―

「生きる意味も、喜びも、愛も――知らなかった。」

剣を握れば、誰にも負けなかった。
学べば、すぐに覚えた。
褒められれば、笑った――そうするのが“正しい反応”だと知っていたから。

沖田司(つかさ)。
万能ゆえに退屈で、感情を持たない少女。
心の震えを知らず、ただ“無敵”として生きてきた。

――目を覚ましたのは、血と剣が渦巻く幕末の江戸。

美しさと強さをまとい、剣を振るう日々。
「自由」とは何か、「生きる」とは何か――その意味さえ、知らなかった。

そんな司の世界を、ただひとり揺らしたのは、
信念に殉じる剣士・鈴木樹。

正義のために剣を抜く彼女と、欲望のままに人を斬る私。
触れあい、衝突し、心を交わすたび、
“理解できないはずの感情”が、司の内に芽生えていく。

これは、「女になりたかった剣」と「剣になりたかった女」が、
心を知り、愛を知り、生きることを選びなおす物語。

無敵の剣が、愛に敗れるその日まで――

――剣が交わり、心がほどけていく。
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