リワインド・シティ:記録禁止区域
人々は過去をやり直すことができる。
「リワインド」と呼ばれる技術によって、失敗や事故さえもなかったことにできる都市——ノヴァ・セクター。
その代償として、この世界では過去の記録が残らない。歴史は常に上書きされ、頼れるのは個人の記憶だけだった。
監査局の調査員アヤ・ミナトは、リワインドの管理と異常監視を担当している。ある日彼女は、自分の記憶や記録から「ある一日」が丸ごと欠落していることに気づく。
周囲にはその日の痕跡が一切なく、誰も何も覚えていない。
それでも彼女の中には、確かに“何かが起きた感覚”だけが残っていた。
やがてアヤは、この都市に「通常のリワインドでは扱えない領域」が存在する可能性に気づいていく。それは公式の記録からも、住民の記憶からも抜け落ちる“空白の時間”だった。
調査を進めるうちに、彼女は都市の仕組みそのものに違和感を抱き始める。
時間は本当に巻き戻されているのか、それとも別の何かが起きているのか——。
やがてアヤは、自分が追っている異常が単なるシステムの不具合ではなく、この都市の根幹に関わる問題であることを知ることになる。
そして彼女は気づく。
この世界では、「過去」は消えているのではない。
ただ、誰かにとって“見えない形にされている”だけかもしれないと。
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