赤い満月の雫
青森の貧しい家に生まれた少女・房江は、家族のため、京の置屋へ奉公に出ることになる。
雪の残る故郷を離れ、たどり着いた華やかな京の町。
しかし、置屋で待っていたのは、冷たい井戸水、厳しい女将、慣れない奉公の日々だった。
そんな房江の心に、ある日、忘れられない人が現れる。
その人の名は、哲夫。
満月の夜。
赤い橋。
胸に落ちた、ひとしずくの恋。
身分も立場も違う二人は、やがて互いの想いを抑えきれなくなり、すべてを捨てて逃げることを選ぶ。
けれど、時代の影は、二人の小さな幸せを静かに追いかけてくる。
老いた房江の記憶の奥で、今も赤い満月だけが輝いている。
これは、叶わなかった恋を生涯抱き続けた一人の女の、悲しくも美しい大正純愛物語。
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