「精霊帝の最愛妻」~二十五番目の花嫁候補~
その日その時、精霊の中で最高の美貌と力を持つ精霊帝の生誕祭が盛大に行われていた。これまでもこの流れの中の一環で、お妃選びが行われる手筈が整えられており、美貌や才能に自身のある精霊乙女たちが我こそはと舞を披露していた。これで二十五回目のお后選びとなる。退屈そうにそれを眺めていた精霊帝は、何か閃いた様子で瞳を輝かせ後、声高々にこう宣言した。
「我の妃となりたいと言うなら、義姉上よりも容姿及び人柄、才能が同等もしくはそれらを凌駕すると思う者は名乗り出よ。その者を妻としよう、未来永劫唯一の伴侶としてここに宣言する!」
突如、場は水を打ったように静まり返る。今まで我こそはと自慢の舞を披露していた美姫たちは一斉に俯き、困惑したように口をつぐんだ。
それもその筈。この精霊帝の義姉と言う存在は、精霊帝の実母の再婚相手の娘であり、人間界、精霊界の花々を統べる仙女で、その類まれなる美貌と才能から四季を司る神に見初められたという。精霊界は疎か神界でも異例の存在として君臨し続けているのだ。畏れ多過ぎて名乗りでる者など皆無である事は誰の目にも明らかだった。そう、精霊帝自身、誰の事も娶るつもりば無く、角が立たずに拒絶する為の方便だったのだ。それもその筈、この精霊帝と義姉とやらは元々は秘かに想い合っている、という噂が水面下で静かに流れていたのだ。何故なら、この精霊帝のお后選びは今回で二十五回目の運びとなり、これまで誰一人として選ばれた乙女は居なかったから。その理由付けとして、その噂が妙にしっくりきた訳である。尤も、それを誰も実際に目撃した者はおらず、その真偽の程は不明であるのだが。
故に、この場にいる誰もがその意図を汲み取った。沈黙を保ったまま精霊帝がこの場をお開きにする指示を待つその時!
「この妙蓮、是非とも陛下の未来永劫唯一の妻になりとうございまする!!」
突如、場違いな程に元気でよく通る声が響いた。場が騒めく。皆、精霊帝は即拒否の上断罪されるだろうと感じた。何故なら、その不調和な発言の主は通称『妙ちくりん姫』と揶揄される変わり者だったから。
しかし、予想に反してどういう訳か精霊帝の興味を惹いた様子で……
これは、かつて人間界で懸命に生きるも不遇の境遇の置かれた末に非業の死を遂げた末に精霊界に転生した姫君と、全知全能の精霊帝が紡ぎ出すそれは風変わり(?)な恋愛結婚騒動恋物語である。
※何でも許せて楽しめる方向けです。
※他サイトにも公開予定。
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