「また子どもを勇者にしたのですか?」死んだはずの歴代勇者は、女魔王が全員育てていました
~十一歳の少女と父を救い、子どもを捧げる勇者制度を終わらせます~
「魔王を倒さなければ、お父さんと村のみんなが罰せられるの」
そう教え込まれ、三日間ろくに食べることもできないまま、魔王城へ送り込まれた十一歳の少女フィア。
自分の背丈ほどもある聖剣を震える手で構える少女に、女魔王ネレイアが差し出したのは、攻撃魔法ではなく温かいスープだった。
「戦うのは、食事の後にしませんか。今のあなたは、剣を振るより先に倒れます」
さらに城の外では、フィアの父である元騎士団長クラウスが、教会の兵士に刺されて崖下へ捨てられていた。
父娘を救ったネレイアが二人に見せたのは、教会の記録では魔王と戦って死亡したはずの歴代勇者たち。
医師、鍛冶師、商人、記録官――かつて子どものまま死地へ送られた六人は、魔王に保護され、大人になって自分の人生を生きていた。
教会が勇者を子どもから選ぶ理由。
逃げれば家族や故郷を傷つける「勇者刻印」。
勇者の命を燃料にして王都を守る聖灯炉。
そして、聖剣は子どもにしか扱えないという最大の嘘。
ネレイアはフィアに命令しない。
剣を持つことも、勇者をやめることも、今は何も決めないことも、少女自身に選ばせる。
やがてネレイアは、娘を守るためなら自分の命すら差し出そうとする不器用な父クラウス、そして死んだことにされた歴代勇者たちと共に、人間の王都へ乗り込むことになる。
これは、子どもを英雄として消費する国から、名前と未来を取り戻す物語。
そして誰かを守ることしか知らなかった女魔王が、役目がなくても隣にいたいと願ってくれる人と、初めて自分の幸せを選ぶ物語。
「何になるかは、食べて眠ってから考えればいいのです」
子どもを捧げる勇者制度を終わらせる、救済と制度ざまぁの完結ファンタジー。
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