売れない作家の俺がダンジョンで顔も知らない女編集長を助けた結果
厳島海斗(いつくしまかいと)は売れない作家で金欠気味の二十五歳。
金は無い、デビュー以来本は出せない、編集からの連絡は半年ないの無いない尽くし。
そんなお先真っ暗な彼だが……実は昔、伝説のダンジョン配信者「日高円佳(ひだかまどか)」相棒だった過去を持つ。
ダンジョンに潜る「冒険者」としての才能は世界で五本の指に入ると言われる海斗だが、作家として売れたい彼はダンジョンとは無縁の生活を送っていた。
そんな彼だったが円佳にアイテムを取ってくるよう頼まれ(脅され)渋々ダンジョンに潜ることに。その時人気配信者「ハルル」を助ける。
作家として大成するまで目立ちたくない、筆一本で有名になりたい彼は名前も告げずその場から去った。
「さて、企画書を作成しないと、でも編集さんは見てもくれないんだよなぁ」
だがその日以来、なぜか編集長の北大路氏から頻繁に連絡が来るようになる。
<ラブコメ作家の厳島先生にこんな本を書いて欲しいのですが>
今まで放置されていたのに今度はプロットも自作してくる気の乗りよう。
それは「ダンジョンで女主人公が王子さまに助けられる」という内容だった。
「最近似たようなこと俺の周りにあったなぁ。ていうか北大路編集長って女性だったんだ」
急にノリ気でどうしたのかと訝しがるが作家として期待に応えようと意気込む海斗。
そんな折、姪の美波に誘われ取材もかねてダンジョンに赴くことに。そこで例の助けた人気配信者ハルルと再会する。
ファンである美波たっての要望で海斗は無理やり彼女とコラボをすることに。
「いや俺、執筆で忙しいんだけど」
だがコラボを承諾した途端、編集長から「忙しくなったので前回の企画は当分先送り」と無慈悲な通告が。
「急に!? 何が起きたの!?」
二転三転する編集長に振り回されながらもハルルとコラボし「日高円佳以来の逸材」として海斗は界隈で有名になっていく。
ハルルの仕事の愚痴を聞いて「個人事業主に優しくしてあげな」と諭すと次の日から編集長が暖かい言葉を掛けてくる。
そして、彼女と仲良くなればなるほど編集長のプロットは具体的になっていき、もはや「自分で書け」レベル。
「マジ何なの!? 絶対性格悪いぜ編集長……ハルルさんとは大違いだ」
そこに円佳も絡んできて事態はさらに大事に――お互いに素性を知らない二人の織り成すすれ違いダンジョンコメディ。
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