風は巡り、再び戻る。~風に導かれた出会い~
アストディア大陸――
この大陸には「黒影」と呼ばれる厄災が存在する。
姿は影。
音もなく現れ、生きる者を襲う。
一度降り立てば、その地に根付き、
静かに、確実に侵食を広げていく。
人々はそれを討つため、力を分けた。
西――魔都テセルス。
魔道士たちが集い、魔法によって黒影に抗う。
東――剣聖国イヴァルナ。
魔力なき者たちが、剣と鋼で黒影に立ち向かう。
互いに干渉せず、ただ役割だけを果たす世界。
――だが。
黒影の数は、確実に増え続けていた。
検知に映らぬ影。
報告すら上がらぬ異変。
そして、いつの間にか変わり始めた都市の“方針”。
気づいた者は、いない。
いや――
気づいても、誰も言葉にしなかった。
これは、ひとりの男が“外された”ところから始まる物語。
魔力は乏しく、ただ人に慕われただけの魔道士――
マーベリック。
風は巡る。
見えないまま、確かに流れ、
やがてすべてを巻き込みながら、再び戻る。
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