証明できない僕ら
高校二年の夏。数学研究部の久遠遼介は、世の中には必ず答えがあり、正しく考えれば正しい結論に辿り着けると信じていた。
そんな遼介の前に現れたのが、転校生の逆瀬未明だった。
数学は苦手なくせに「パラドックスが好き」と言う未明は、放課後の数学準備室で、遼介に奇妙な問いを投げかける。
「未来の自分に、その選択をすれば必ず後悔すると言われたら?」
「振られると分かっていても、好きな人に告白する?」
「人を好きだということは、証明できる?」
嘘つきのパラドックス、祖父殺しのパラドックス、テセウスの船、証明できない命題――。
答えのない問いを交わすうち、二人の距離は少しずつ縮まっていく。
しかし夏休みを前に、未明は告げる。
八月二十三日、この町を離れ、遠く福岡へ転校するのだと。
「どうせ終わるなら、始めない方がいい」
そう考える遼介と、
「結果が同じでも、そこまでの道は同じじゃない」
と言う未明。
残された夏の中で、二人は初めて、自分たち自身を答えのない問題として見つめることになる。
そして別れの日を目前に、未明は遼介へ最後の問題を出す。
───絶対に証明できないことを、証明してください。
永遠も、未来も、誰かを好きでいることも証明できない。
それでも、証明できないからといって、存在しないわけではない。
答えのない問題を嫌っていた少年が、ひとりの少女との夏を通して、「答えがなくても選ぶ」ということを知っていく。
数学とパラドックスをモチーフに、恋、別れ、記憶、そして不確かな未来を描く青春恋愛短編。
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───絶対に証明できないことを、証明してください。
永遠も、未来も、誰かを好きでいることも証明できない。
それでも、証明できないからといって、存在しないわけではない。
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