閉鎖空間小説一覧

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ある日、郊外の小さな町が忽然と、外界との接触を断たれた。見上げれば空は透明なガラスに覆われ、空間の外には何もない。季節に関係なく、静かに雪が降り続ける。人々はそれぞれに状況を受け入れ、拒み、順応し、あるいは壊れていく。
日常は変わらず営まれるようでいて、ゆっくりと確実に“閉じ込められた町”は変質していった。
「なぜここだけが残されたのか」
「誰がこれを望んだのか」
雪に閉ざされた町の中で、人々は“選ぶこと”を強いられていく。これは、ただの町の物語ではない。
誰の心にもひとつある、小さなスノードームの話である。
文字数 9,493
最終更新日 2025.06.17
登録日 2025.06.17
我々は宙に浮かぶ不可視のカメラで、その女が階段から落下するのを目撃している。
ジャージにスニーカーという格好の女はとても疲れている様子で、不意に階段を踏み外してしまったのだ。
唐突に閃光ーーそれの痕跡が消えたとき、我々はその女を見失った。
女の消えた場所とは全く異なる場所、生い茂る森の姿をカメラは映し出す。
そこで一人の男が目を覚ました。彼は超越的存在ーー神によってそこに送られた、凡庸な容姿の男だ。
男はあらん限りの声で「クソが!」と叫ぶ。
そして不可視のカメラは、休み方を忘れた女と、おしゃべりで口の悪い男の会話を無機質にとらえ続ける。
(全八章、三十四話完結)
文字数 62,144
最終更新日 2023.01.11
登録日 2022.12.23
晃一と伸介は新聞部に所属している。だが、せっかく晃一が立ち上げたその部は、今や存亡の危機にあった。起死回生をはかり、二人は町外れの古びた館の探索に赴くが……。※他所にも登校しています。
文字数 13,713
最終更新日 2020.03.28
登録日 2020.03.27
核の暴力とも言われた第三次大戦から二十余年。
人々は地上に住むことを断念し、各地の地中深くに構築した螺旋隧道型地下人工都市(らせんずいどうがた ちかじんこうとし)――ジオフロントに移住した。
しかし、消耗一方のフロントにはすべての人間を生かすほどの余裕は無い。
ここ、第十三区地中都市――通称"ブルート"は比較的恵まれているほうだが、とうとう選択の時が訪れようとしていた。
食料問題、衛生問題。
そして何より地上から流れ込む強酸性の雨が、ジオフロントが水没しないように稼働するポンプを痛めつける。
故障すれば替えはきかない。煤煙の出せないジオフロントでは、機械工業はとうの昔に無くなっていた。
このままの稼働を続ければあと数年と持たずに、このジオフロント全てが水没する。
しかし稼働率を下げれば――螺旋のトンネルの下層部に住む、身分の低い者達を見捨てることになるとはいえ――大多数の人間は助かることになる。
ようするに命の選別だ。
残酷だろうか。しかし、この政策がとられなければ、このジオフロントは近いうちに全滅となるだろう。
そして、その時はやってきた。
今夜零時。フロントの最下層、「第二十二層」一帯が閉鎖・入水(じゅすい)する。数多くの下層民を、置き去りにして。
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★一部、閑話等は変更することがありますが、カクヨムにて連載中のものと基本的には同内容となります。
★不定期更新ではありますが、なるべくマメに更新してまいりますので、宜しくお願い致します。
文字数 19,349
最終更新日 2019.02.16
登録日 2019.02.15
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