職員ごと消えた、えみさき遊園地。息子を失い泣き崩れる母に、刑事・田所は「必ず見つける」と約束する。不可解な現象の中、人を想う執念が動き出す。
文字数 32,722
最終更新日 2025.07.02
登録日 2025.07.02
布が貴重な異世界に転生した、和裁好きの少女。持ち込んだのは、祖母の裁縫箱《継ノ箱》――どんな道具も整い、感情を縫い込む不思議な箱だった。縫製文化のない世界で、着物を仕立て、衣の美しさを広めていく。貴族や王族、兵士すら虜にし、やがてその針仕事は、人の運命をも縫い直す力となる。針と糸で世界を変える、布の革命スローライフ!
文字数 19,768
最終更新日 2025.07.02
登録日 2025.07.02
「君、何にもしてないよね?」
そう言われて、地脈案内人の少年は勇者パーティーを追放された。スキルは、歩いた場所に道を作る《開路行者》。戦えない、役立たず――でもその“道”が、世界をつなぎ、歴史を揺るがすとは誰も思わなかった。
道を消し、道を通し、仲間を得て、裏世界へ。これは、ひとりの案内人が“誰よりも遠くまで歩いた”物語。
文字数 48,184
最終更新日 2025.06.27
登録日 2025.06.27
神殿に仕える深祈(しんき)の聖女セリナは、“皮膚が治せない聖女”として今日も絶賛苦情受付中。
だが彼女の力《浄化》は、体の奥――肝臓や肺など、見えない臓器の呪いを祓う超ニッチなもの。
外傷は無理でも内臓ならお任せ!と、騎士も貴族もこっそり駆け込んでくる。
ちょっぴり不便で、でも確実に効く“白衣さま”の祈りが今日も誰かの命を救う(たぶん)。
文字数 24,890
最終更新日 2025.06.27
登録日 2025.06.27
戦闘?回復?補助?──いいえ、“ぽわっ”と光るだけです。異世界に転移したカイトのスキル、その名も〈光のしずく〉。道案内に便利だったり、敵の目くらましになったり、なんか屋台まで光りはじめた!? 気づけば、地味だったはずの光が仲間と世界を照らしていく。頼れるのはセンスと発想力と、ぽよんと浮かぶ豆球ひとつ。ゆるくて優しくて、ちょっとだけ泣ける、一話完結の光る冒険ファンタジー!
文字数 18,846
最終更新日 2025.06.23
登録日 2025.06.23
ある日、少女ユイは祖母からもらった古いレースのハンカチを広げて、日なたでおままごとをしていた。
けれど、ふと目をこすった瞬間、彼女の身体は小さくなっていて、ハンカチの刺繍の森に迷い込んでいた。そこは糸でできた動物たちが暮らし、花柄の花が風に揺れる不思議な世界。
刺繍の鳥がささやく。「この森には“ほつれ”が広がっている。君だけが、それを直せる」
――これは、ハンカチの上の小さな冒険と、少女のひと針が世界を救うお話。
文字数 7,764
最終更新日 2025.06.22
登録日 2025.06.22
王都の片隅に佇む小さな工房では、月に一度だけ――“なりたい自分”になれる魔法が付与される。
変身魔法付与師の見習いリリィは、母の遺したこの場所で、人々の願いに静かに寄り添い続けていた。
自分自身には魔法がかからないと知りながらも、彼女は今日も、誰かの「心の輪郭」を形にする。
見た目を変えるだけでなく、雰囲気ごと“自分らしさ”に触れる魔法の一時間(または十二時間)
それは、小さな一歩のための、かけがえのない奇跡。
時間限定魔法
・一時間:平民も貴族も利用可能
・十二時間:高額/貴族専用
文字数 51,195
最終更新日 2025.06.21
登録日 2025.06.21
異世界に召喚された少年・カイが授かったのは、使い道がわからないとされる「枯葉探知スキル」だった。戦闘も魔法もできず、王都から遠く離れた辺境村に送られるが、かつてホームセンターで園芸を担当していた知識を活かし、枯れ葉を香り袋や染料、腐葉土に活用しはじめる。
落ち葉一枚に価値を見出し、村を少しずつ豊かに変えていくカイの姿は、やがて人々の心を動かしていく――。
“役に立たない”と笑われたスキルで、今日もクラフトの火を灯す。
これは、ひとりの少年が落ち葉とともに世界を耕していく、再生と創造の異世界クラフト物語。
文字数 30,414
最終更新日 2025.06.19
登録日 2025.06.19
異世界に目覚めた高校生・ユイの手には、なぜか洗面所の石鹸がひとつ。
迫りくる猪型モンスターにとっさに石鹸を投げつけたら──敵が泡立って溶けた!?
汚れを落とすどころか、毒も呪いも病も洗浄してしまう謎のチート石鹸を手に、ユイは「洗浄士(クリーナー)」として冒険者生活を開始!
なぜか入浴文化のない世界で、彼女の“清潔革命”が巻き起こる。
泡の精霊、匂いで戦う騎士団、乾燥魔術士などクセ者揃いの仲間と共に、世界をピカピカに洗い流せ!
文字数 12,377
最終更新日 2025.06.18
登録日 2025.06.18
ある日、郊外の小さな町が忽然と、外界との接触を断たれた。見上げれば空は透明なガラスに覆われ、空間の外には何もない。季節に関係なく、静かに雪が降り続ける。人々はそれぞれに状況を受け入れ、拒み、順応し、あるいは壊れていく。
日常は変わらず営まれるようでいて、ゆっくりと確実に“閉じ込められた町”は変質していった。
「なぜここだけが残されたのか」
「誰がこれを望んだのか」
雪に閉ざされた町の中で、人々は“選ぶこと”を強いられていく。これは、ただの町の物語ではない。
誰の心にもひとつある、小さなスノードームの話である。
文字数 9,493
最終更新日 2025.06.17
登録日 2025.06.17
外れスキル〈異種混芽〉を持つ農民ギルド所属の青年・セロは、奇妙な野菜ばかり作る落ちこぼれと呼ばれていた。誰にも理解されず、丘の上の畑でひっそり実験を続けていた彼だったが、ある年、周辺村の作物が病気で壊滅。食糧難が迫るなか、セロの奇妙な野菜たちが“環境に強く、食べられる作物”として注目され始める。戦わず、魔法もなく、地道に土を耕す――これは、裏方農民が小さな畑から村を救い、やがて世界を変えていく、静かで力強い農業ファンタジー。
文字数 13,334
最終更新日 2025.06.17
登録日 2025.06.17
最愛の人を見送った日から、食卓に残ったのは、左利き用のマグカップだった。欠けたふち、バジルの鉢、雨音と子猫、片耳のイヤホン、ふたり分だった買い物かご——日々の暮らしに残された、小さな風景のひとつひとつが、確かにそこにいた時間を呼び戻す。紅茶を淹れる手が覚えていたぬくもり、湯気の向こうに浮かぶ空。これは、ある朝のマグカップに注がれる、やさしい記憶と再生の物語。静かな十篇の、ささやかな癒し。
文字数 6,459
最終更新日 2025.06.17
登録日 2025.06.17
料理人見習いだった穂積一実(ほづみ・かずみ)は、目覚めると“食べることが罪”とされる宗教国家・ネファレムに転生していた。飢えすら神の試練とされるこの地で、一実は「食べることは生きること」と訴え、迫害されながらも料理を差し出していく。老神官の病を一杯の湯葉スープで癒したことで、彼の料理は“祈り”と認められ始める。断食を誇る王子、信仰に縛られた審問官らとぶつかりながらも、一実は“台所”を作り、白がゆの一匙で国を変えていく。――これは、禁じられた食卓に朝の光を取り戻した、ひとりの料理人の物語。
文字数 8,046
最終更新日 2025.06.17
登録日 2025.06.17
駅から徒歩10分の住宅街にひっそりと佇む、小さなカフェ「クロモジ」。
営業時間は朝9時~夕方5時まで。定時でぴったり閉まる、珍しいカフェ。
店主は物静かで気配り上手な女性・堂本(どうもと)さん。メニューにある「クロモジブレンド」は、体にも心にも沁みわたる優しい味わい。
客は「なにかを手放した人」「立ち止まりたい人」「これから進みたい人」。
それぞれがこの店で、ささやかな”リセット”を経験していく。
文字数 8,458
最終更新日 2025.06.17
登録日 2025.06.17
政府が全国民に「余命時計」を配布した。腕に装着すれば、秒単位で寿命の残り時間が表示される。余命の延長は不可能、短縮は加速度的。誰もが“いつ死ぬか”を知った社会で、人々の生き方は大きく変わった。
高校生の遠山ユウは、自分の余命が「あと一年」と知る。その日、彼は余命十年の少女・榊セラと出会う。逆転した死の順番と、迫る別れ。二人は、終わりを知るからこそ始まる恋に踏み出す。
だが、“余命が減る理由”は単なる寿命ではなかった。愛するほど、命が削られていく――この世界の真実が、静かにふたりを試す。
文字数 10,524
最終更新日 2025.06.17
登録日 2025.06.17
ある日、天女の羽衣が意思を持って地上へ逃げ出した。布は十二枚に分かれ、風に導かれるまま各地へ。天女ルナティーは羽衣を追いながら、風と踊る人や夢を見る人魚、遊び場の子どもたちなど、地上の人々と出会っていく。羽衣は人々とふれあい、地上のあたたかさを覚えてゆく。全てを集めたとき、羽衣は空へ帰れるようになったが、ルナティーは選ぶ――もう少し、この風の中で旅を続けよう、と。
文字数 13,698
最終更新日 2025.06.17
登録日 2025.06.17
スキー場で、親と一緒に来ていた少年。
突然の大吹雪でリフトが止まり、視界が白く閉ざされていく。
叫んでも誰の声も届かず、身体の感覚が薄れていく――
そして、次に目を開けたときには、見知らぬ木造の家の中だった。
窓の外には、雪ではなく緑の丘が広がっていた。
彼を助けたのは、ガラス職人の夫婦。
言葉は通じても文字は読めず、何もできなかった少年は、火を扱うその仕事に心を奪われ、弟子として一から学び始める。
魔法のないこの世界で、火と風と向き合いながら器を吹き、人と出会い、別れ、また旅をする。
やがて自分の炉を持ち、弟子を迎え、アッシュは“職人”としての道を歩み始める
──これは、火を灯すことで人とつながる、ひとりの少年の静かな成長の物語。
文字数 25,651
最終更新日 2025.06.16
登録日 2025.06.16
音羽町にある旧・音羽中学校。
十年前に閉校したこの校舎が、取り壊されることになった──
そのニュースを知った大学生の村上 湊(むらかみ・みなと)は、ふと思い立って町に帰る。
中学三年の卒業式の日、湊と仲間たちは「いつか、またこの場所に集まろう」と約束していた。
あれから誰とも連絡を取っていなかったが、校舎を訪れた彼は、かつての放送室で不思議な“録音”を見つける。
懐かしい声、秘密の笑い声、そして消えたはずの「彼女の声」。
湊は、一人ひとりに連絡を取り始める──
かつての仲間たちはそれぞれに事情を抱え、迷いながらも「最後の帰還」に集っていく。
誰もが一度、離れてしまったこの町で、彼らは、何かをもう一度始める。
文字数 28,574
最終更新日 2025.06.16
登録日 2025.06.16
異世界に転移した平凡な青年・フェリク・アルメスが授かったのは、「手順書展開スキル」――あらゆる作業や戦術の最適な手順を可視化する、地味で非戦闘向けの能力だった。剣も魔法も使えず、役立たずと蔑まれる彼。しかし、鍛冶、調薬、建築、戦闘指示に至るまで、このスキルの応用範囲は広く、凡人を一流に変える力を秘めていた。やがてフェリクは、誰よりも戦わず、誰よりも多くの命を救い、戦場を動かす存在となっていく――これは、“手順”だけで英雄になった、静かなる支援者の逆転譚である。
文字数 12,545
最終更新日 2025.06.15
登録日 2025.06.15
薬草スキルで草を出す少女と、薬をスイーツ味に変える少女。ふたりが旅するのは、苦くて、やさしくて、ときどき泣ける“薬草日和”。今日の処方箋は、いちご味の解毒薬? それとも、月明かりの眠り草?
読めばきっと、誰かにやさしくなりたくなる。スキル×癒しの一話完結ファンタジー。
文字数 9,805
最終更新日 2025.06.15
登録日 2025.06.15