グルメ? 小説一覧
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SNSの「映え」を生きがいにする高校生・湊は、写真を撮ることには熱心だが、食べることにも、人と向き合うことにも本気になれずにいた。いいねの数が増えれば満足し、減れば不安になる。そんな薄っぺらな日常の中で、彼は旧校舎の奥にひっそりと存在する謎の部活――「最後の晩餐部」と出会う。
そこにいたのは、鍋の中身が空っぽでも、湯気だけで「おいしい」と笑う少女・紬。彼女は病気のため、物理的な食事をほとんど口にできない。その代わり、誰かが語る“食べ物の思い出”や“味の記憶”を聞くことで、心だけ満たされるという不思議な体質を持っていた。最初は理解できず反発する湊だったが、成り行きで「言葉で料理をする」役目を担うことになる。
部室ではいつも軽口が飛び交い、失敗談やくだらない思い出が次々と語られる。伸びきったうどん、冷めたピザ、形の悪いオムライス。どれも大したことのない話のはずなのに、紬は楽しそうに笑い、「ごちそうさま」と言う。その姿に、湊は初めて“誰かのために語る”ことの楽しさを知っていく。物語は終始明るく、仲間同士の掛け合いや笑いに満ち、青春漫画のような軽やかさで進んでいく。
しかし、その明るさの裏で、少しずつ違和感が積み重なっていく。咳の回数、青ざめた顔、意味深な沈黙。幼なじみの蓮だけが知る真実に、湊は最後まで気づかない。鈍感なまま、いつも通りの日常が続くと信じて疑わなかった彼の前に、ある日突然、取り返しのつかない現実が突きつけられる。
笑っていた時間があまりにも鮮やかだったからこそ、その喪失は残酷だ。言葉で誰かを生かしていたつもりの少年が、言葉では救えなかった現実と向き合うとき、初めて「食べること」「生きること」の意味が浮かび上がる。
『最後の晩餐部』は、軽やかな青春のトーンから一転、心をえぐる落差で読者を揺さぶる物語だ。何気ない会話、くだらない思い出、そのすべてが“最後のごちそう”だったと気づいたとき、あなたの胸にも、忘れられない味が残るだろう。
文字数 147,056
最終更新日 2026.01.05
登録日 2026.01.04
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薬草師リナの作る料理はまずい。
ただし、栄養満点である。
★ドラゴンの脅威に悩まされる西方砦。
国境警備隊の兵士達は度重なる襲撃に疲弊し、隊長のロイドと副隊長のメルヴィンも心を痛めていた。
そんなとき突如として現れたのが、旅の薬草師である少女リナ。
彼女の作る舌のとろけそうな料理の数々に、兵士達は虜になるのであった――
文字数 35,290
最終更新日 2023.05.17
登録日 2023.05.17
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19世紀も末の日本。謎の少女に誘われ、死んだはずの殺人鬼「ジャック・ザ・リッパー」は半妖と化して妖怪を喰う。かたや巷には、妖怪食をふるまう「幻想食屋」があるという……人の倫理も妖怪の掟も飛び越える、短歌×ショートストーリーの幻想三十一字譚その1、妖怪食編。レシピ付き。
文字数 11,649
最終更新日 2022.12.31
登録日 2020.06.24
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