帰還兵 小説一覧
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一粒三〇〇メートルの忘れもの
シベリアの永久凍土から発見された、身元不明の凍結遺体。
北海道大学低温科学研究所の大学院生・氷室雫が、その異常な温度上昇を確認した夜、凍っていた男は突然目を覚ました。
「一ノ瀬! これを食え! 一粒三〇〇メートルだぞ!」
男の名は、度会源蔵。陸軍軍曹、肉体年齢四十八歳。
彼の時間は、昭和二十年のシベリアで止まっていた。
日本が敗れたことも、帝国陸軍が消えたことも知らない源蔵は、死んだ戦友・一ノ瀬から託された一枚の写真を胸に、東京へ向かおうとする。
目的は、写真を一ノ瀬の家族へ届け、八十年前の約束を果たすこと。
研究室で起きた「事故」を隠したい雫は、仕方なく源蔵を追う。
スマートフォンを無線機と疑い、コンビニを補給所と呼び、現代の平和に軍隊式の規律で立ち向かう源蔵。
乾いた皮肉で受け流す雫。
噛み合わない二人は、札幌から函館、青森、東北を経て、東京を目指す。
だが、旅の途中で源蔵を待っているのは、八十年後の豊かな日本だけではない。
敗戦。
消えた国家。
帰れなかった者たちの時間。
そして、一ノ瀬を救えず、自分だけが生き残った記憶。
雫もまた、亡き恋人の最期に間に合わなかった痛みを抱え、自分は何もできなかったと信じ続けていた。
これは、八十年遅れで帰ってきた一人の兵士が、死んだ戦友との約束を果たす物語。
そして、救えなかった者同士が、過去を消すのではなく、その先へ歩き出すためのロードノベル。
感想数 0
文字数 127,880
最終更新日 2026.06.27
登録日 2026.06.17
2
戦争のあとしまつ
感想数 4
文字数 6,499
最終更新日 2023.04.07
登録日 2023.04.06
3
夜の底からの通信
元通信兵のニーナは終戦後の今も戦場の悪夢の中にいる。
家の外を車が通っただけで怯えて物置に潜り込み、掃除機の音で暴れまわり、パンクの音で家を飛び出す日々。
トラウマに振り回される日々に家族もニーナも耐え切れず、帰還兵専門の病院に入院する羽目になった。
そんなニーナに戦友からかかってきた電話の内容は?
「血まみれ聖女」「戦争のあとしまつ」のスピンオフですが、そちらを読んでいなくてもわかるようにはなっています。
「戦争のあとしまつ」に入れるつもりが長くなってしまったのでSSとして独立した作品にしました。
感想数 3
文字数 8,060
最終更新日 2023.09.08
登録日 2023.09.06
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