第19回恋愛小説大賞
選考概要
全2,571作品が集まった第19回恋愛小説大賞。その中から一次選考を通過したのは46作品(奨励賞受賞作品参照)。
その後、編集部内で最終選考において大賞候補としたのは、「確かにモブ…私モブのはずなんです!」「私が一人で死んだ夜。だからあなたを、捨てることにしますね?」「結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。」「賭けから始まった偽りの結婚~愛する旦那様を解放したのになぜか辺境まで押しかけて来て愛息子ごと溺愛されてます~」「柔らかな愛に触れるまで ~冷酷な御曹司は政略結婚から愛を知る~」「娼館育ちのヴィオレッタは、淫らな魔術師様のお気に入り」「【完結】社畜喪女はおもちゃが好き。アダルトショプのイケおじ店長に快楽堕ちさせられましたが、これが私の幸せかもしれません。」「眷属神の花嫁〜四当主の花嫁争奪譚〜神縁の行方」の8作品。
これらの候補作の中で、死に戻った主人公が自身の死の謎に迫るストーリーを描き、編集部内で最も高く評価された「私が一人で死んだ夜。だからあなたを、捨てることにしますね?」を大賞に選出。
また、次点としてそれぞれ個性に秀でていた「結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。」「賭けから始まった偽りの結婚~愛する旦那様を解放したのになぜか辺境まで押しかけて来て愛息子ごと溺愛されてます~」の2作品を優秀賞に選出した。
さらにテーマ別賞として、「柔らかな愛に触れるまで ~冷酷な御曹司は政略結婚から愛を知る~」にエタニティ賞、「娼館育ちのヴィオレッタは、淫らな魔術師様のお気に入り」にノーチェ賞、「【完結】社畜喪女はおもちゃが好き。アダルトショプのイケおじ店長に快楽堕ちさせられましたが、これが私の幸せかもしれません。」にファタール賞、「眷属神の花嫁〜四当主の花嫁争奪譚〜神縁の行方」に中華・和風・後宮ラブ賞を授与。
また一次選考通過作品のうち、授賞に至らなかった作品を奨励賞とした。
「私が一人で死んだ夜。だからあなたを、捨てることにしますね?」は、死に戻ったヒロインが、自身の死の謎と夫の秘密に迫るという恋愛とミステリーが織り込まれたストーリー。ヒロインの謎めいた境遇が明かされていくにつれ、伏線が一気に回収されていく展開には驚かされた。
「結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。」は、追放されたヒロインが聖女としての能力を活かし活躍する中で、他キャラクターの恋愛が差し込まれる多角的な作品。複数視点が壮大な展開に繋がっていく様子が面白い。
「賭けから始まった偽りの結婚~愛する旦那様を解放したのになぜか辺境まで押しかけて来て愛息子ごと溺愛されてます~」は、ヒロインがすれ違いの果てに愛されるシークレットベビーもの。序盤の丁寧な心理描写と、誤解を解いて愛されるまでの展開が丁寧に描かれており、安心感のある結末だった。
「柔らかな愛に触れるまで ~冷酷な御曹司は政略結婚から愛を知る~」は、御曹司との突然の政略結婚から始まるラブストーリー。ハイスペックなヒーローが強気なヒロインを溺愛していく過程が魅力的に描かれていた。
「娼館育ちのヴィオレッタは、淫らな魔術師様のお気に入り」は、娼館育ちで恋に疎い受付嬢ヒロインと執着気質な魔術師が恋に落ちる話。ふたりのすれ違う様がじれったく、先の展開が待ち遠しく感じられた。
「【完結】社畜喪女はおもちゃが好き。アダルトショプのイケおじ店長に快楽堕ちさせられましたが、これが私の幸せかもしれません。」は、ストレスを抱えたOLとちょい悪イケおじ店長とのラブロマンス。背徳的な設定と精緻な心理描写、濃厚な恋愛シーンの描写が巧みな作品だった。
「眷属神の花嫁〜四当主の花嫁争奪譚〜神縁の行方」は、神々の眷属である四つの種族に、百年に一度当主の嫁取りがあるなか、選ばれたふたりの花嫁をめぐり恋愛が展開される作品。各キャラクターとヒロインのかけあいが魅力的だった。
ここであげた候補作のほかにも、出版の可能性を感じる作品が数多くあった。編集部で検討し、個別にオファー、あるいは出版化への挑戦を打診していきたい。
今年もオリジナリティあふれる設定や魅力を持った作品が多く、作風の幅が広がる結果となった。一方、選考を行う中で、圧倒的な面白さを感じる恋愛小説は少なかったという声も上がった。過去の受賞作品に続く傑作が多く生まれるような、より一層の投稿サイト機能・サービスの拡充を目指していくとともに、次回以降はさらに多くの読者を魅了するような恋愛大作を期待したい。
【完結】私が一人で死んだ夜。だからあなたを、捨てることにしますね?
【完結】確かにモブ…私モブのはずなんです!
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。次から次へとイベントが起こるテンポ感が良くたくさんの読者様が楽しめる納得の作品です。また、自分の本当の正体に気づかないミュリエルを愛おしく見守るジークライドの溺愛っぷりも非常に魅力的でした。
夫の謀略で家を追われながらも、前世のジュエリー制作のスキルを活かし、付与特化型の聖女として自立していく前向きな主人公に惹かれます。さらに、多くの人物の視点が交錯する重層的なストーリーが、やがてドラゴンとの壮大な戦いへと収束していく展開も爽快で、ぐっと引き込まれました。
ヒロインの心情が丁寧に描かれ、冒頭の裏切られたのだと思い込んでしまうシーンは真に迫るようでした。また、その後も子育てに、実は夫に溺愛されていたこと、そして夫の幼馴染との波乱な展開が面白く、楽しく拝読しました。
柔らかな愛に触れるまで ~冷酷な御曹司は政略結婚から愛を知る~
親の都合で政略結婚することになった二人が、結婚生活を通して心を通わせていく過程が丁寧に描かれていて、とても読み応えのある作品でした。少し強気なヒロインと、御曹司ヒーローの自然体で軽やかな掛け合いも魅力的でした。
【完結・番外編】娼館育ちのヴィオレッタは、淫らな魔術師様のお気に入り
周囲にはバレバレの両片思いの主人公たちがすれ違いながらもくっつくまでの過程がかわいらしく描かれており、二人の恋路を応援したくなりました。ピュアな恋愛感情と濃厚な濡れ場のギャップが魅力的な作品でした。
仕事を頑張りすぎるOLが、ひょんなことからヒーローと大人の関係へと発展していく過程が丁寧に描かれていました。健気で真面目な瀬奈と飄々とした久下のキャラの組み合わせも良く、ハードなプレイの中にもきちんと愛が感じられて、読みごたえのある作品だと感じています。
眷属神の花嫁〜四当主の花嫁争奪譚〜神縁の行方
神託の花嫁を巡る各種族の思惑やそれぞれのキャラクターの心情が丁寧に描かれており読み進める手が止まらない作品でした。素直な主人公と少し癖のある当主たちの掛け合いも軽やかで魅力的です。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
幽体離脱して自分の死を客観視する冒頭シーンが印象的で、ぐっと心をつかまれました。死に戻った主人公の境遇が明かされる展開にどんどん引き込まれ、作品の構成力の高さを感じました。理不尽に抗う芯の強い主人公も、非常に魅力的です。