「明治時代」の検索結果
全体で115件見つかりました。
顔も知らない、ほのかな恋――。明治の中頃、カフェの給仕の三熊は汽車の止まる時間、乗客にお茶を売っていた。窓越しにお茶を手渡すだけの関係でありながら、彼の声が耳に残る。
文字数 2,304
最終更新日 2022.04.05
登録日 2022.04.05
これある初夏の日、黄昏時のこと
任務を終えた帰り道、鬼の皇帝とまで呼ばれた獄炎の異能力者・宝と、その幼馴染である桜の異能力者・麗華は、突如現れた歪んだトンネルに吸い込まれる。
辿り着いた先は、妖怪が存在し、『妖力』をあらゆる動力源として利用する幻惑と闘争のが蔓延る明治時代の日本の異世界『ラグナドール』。
妖怪たちが日々、人間たちの生活の安全を脅かし、また人間が妖怪の力・『妖力』を利用したりと、お互いが己のためにお互いを利用し合っている、そんな和風と妖の世界。
そんな世界に転移した二人の前に現れるのは、まだ見ぬ仲間、まだ見ぬ強者たち、、、
そしてこの世界を覆う“真の支配者”である鬼の女帝。
世界の法則すら凌駕する、妖怪と、妖力を操る人間たち、そして宝たちの戦いが今宵、始まる。
ーーー「鬼の炎帝、妖の異界を統べる」
文字数 24,310
最終更新日 2025.08.13
登録日 2025.07.10
鵙(もず)神社の来歴についてここに簡記する。
神社に関する最も古い記述は室町時代にまで遡る。
当時、神社は土着の山神信仰の場として細々と機能していたに過ぎなかった。
麓の村の主産業である養蚕の成就を山神に祈ったことがそもそもの起こりとされる。
その村を野盗が襲った。
絹を奪い、女子供を拐かした。
果てぬ怨嗟の中、村人は神に祈った。
野盗を殺してくれと。
程なく、野盗の頭目の死体が上がった。
松の木に喉を刺し貫かれ、風鈴のように揺れる亡骸を見て、誰かが言った。
鵙の早贄のようだと。
以来、神社は鵙神社と号した。
時は流れ、明治時代になると、養蚕が立ち行かなくなった。
村の蚕が悉く死んだ。
蚕が尽き、絹が尽き、飯が尽き、金が尽き、
飢えと恐怖に錯乱した村人の間に死が蔓延した。
人々は再び鵙神社を顧みた。
そこに現れたのが、鵙の巫女と呼ばれた娘である。
その余りの忌まわしさゆえか、
中てられたように村は次第に狂っていき、
結局、
地図から消えた。
それから百年余りが過ぎた現代において。
三体の自殺体が発見される。
彼らは一様に、己が手で耳と目と鼻を引き千切って死んでいた。
――その神社は、殺意を内包している
登録日 2015.03.22
