滅びるはずの1999年、偉人たちは家賃を払う
1999年、神在月の出雲。「人類は滅亡する」というノストラダムスの予言に世間がざわつく中、出雲大社にほど近い古びた空き家に6人の男女が忽然と現れる。彼らは自分たちがどの時代の誰であるかをすぐに理解する――卑弥呼、紫式部、源義経、千利休、坂本龍馬、樋口一葉。時代も身分もまるで異なる6人が、なぜか同じ日、同じ場所に集められていた。
持ち物は、それぞれの時代を象徴する家宝の品々。銅鏡、直筆の草稿、名のある刀、茶器、懐中の拳銃、未発表の原稿――どれも今の価値に換算すれば目が飛び出るほどの値打ちものだが、当然ながら誰も現金化の仕方など知らない。
彼らを保護することになったのは、古い賃貸物件を管理する冴えない不動産会社員・芝村航(しばむら わたる)。得体の知れない6人組を厄介払いしようとするも、なぜか情に絆され、彼らを自分の管理するボロ屋に住まわせることに。かくして神門通りにほど近い「偉人シェアハウス」が始まる。
骨董品として家宝を売り、日雇いの仕事を探し、コンビニ弁当に驚愕し、テレビや携帯電話に振り回されながらも、6人はそれぞれの才覚で1999年の日本に居場所を作っていく。しかし物語が進むにつれ、航は違和感に気づき始める――「なぜこの6人だけが、よりによって全国の神々が集うとされるこの地に、この年に集められたのか」。偶然にしては出来すぎたタイミング、そして誰かが意図的に彼らを見張っているような気配。ノストラダムスの予言の日が近づく中、6人と航は自分たちの運命に隠された謎に触れていくことになる。
登場人物
卑弥呼(ヒミコ)
弥生時代・邪馬台国の女王。物静かで感情を表に出さないが、鋭い観察眼と勘の良さで現代社会にも意外と早く順応する。所持品は祭祀に使われた銅鏡と勾玉。テレビの占いコーナーに謎の対抗心を燃やす。
紫式部(むらさきしきぶ)
平安時代の女房・作家。プライドが高く皮肉屋だが筆一本の才能は本物。現代の恋愛ドラマや少女漫画にどっぷりハマり、やがて別名義でネット小説を書き始める。所持品は『源氏物語』の直筆草稿の一部。
源義経(みなもとのよしつね)
鎌倉時代の武将。血気盛んで身体能力が異常に高い。喧嘩っ早いが情に厚い。格闘技やアクション映画に夢中になり、道場破りまがいのことをして小銭を稼ぐ。所持品は名のある太刀。
千利休(せんのりきゅう)
安土桃山時代の茶人。何事にも「侘び・寂び」を求める美意識の化身で、現代の消費社会に本気で戸惑い、時に説教くさくなる。やがて古びた喫茶店を間借りして「一服百円」の妙な茶会を開き始める。所持品は名物茶器。
坂本龍馬(さかもとりょうま)
幕末の志士。
持ち物は、それぞれの時代を象徴する家宝の品々。銅鏡、直筆の草稿、名のある刀、茶器、懐中の拳銃、未発表の原稿――どれも今の価値に換算すれば目が飛び出るほどの値打ちものだが、当然ながら誰も現金化の仕方など知らない。
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