夏の扉を開けるとき
アルビーの留学を控えた二か月間の夏物語。
僕の心はきみには見えない――。
やっと通じ合えたと思ったのに――。
思いがけない闖入者に平穏を乱され、冷静ではいられないアルビー。
不可思議で傍若無人、何やら訳アリなコウの友人たちに振り回され、断ち切れない過去のしがらみが浮かび上がる。
夢と現を両手に掬い、境界線を綱渡りする。
アルビーの心に映る万華鏡のように脆く、危うい世界が広がる――。
*****
コウからアルビーへ一人称視点が切り替わっていますが、続編として内容は続いています。独立した作品としては読めませんので、「霧のはし 虹のたもとで」からお読み下さい。
注・精神疾患に関する記述があります。ご不快に感じられる面があるかもしれません。
(番外編「憂鬱な朝」をプロローグとして挿入しています)
>>前回の続きからラストまで
くそっ、やられた!
ドラコに続いて、シルフィやブラウンさんも姿を見せて、コウの口から、ぽつり、ぽつりと物語の核心部分が零れ出す。
アルビーと同じく、約束が気になって仕方がない。
ここでもう一度――。
くそっ、やられた!(褒め言葉です) リアルの中に現れたファンタジックな存在たちをもっと見ていたい。ブラウンさんの噛み合わない応答がコミカルで、明らかに人ではないさまが楽し過ぎる。
もちろん、苦悩するアルビーの赤裸々な胸の内と、目の前で起こっていることへの心理学的な理由付けはもどかしく、『現実にはあり得ないこと』を精神疾患の中に見出そうとするアルビーと、それを現実として受け止めているコウは正反対で、いつになったら同じ目線になるのか、読み進めずにはいられない。
そして、消化されずにあったモノがひとつずつ明かされて行く様は、もう本当に「やられた!」でした。
何より、アルビーがどんどん男前に(いえ、もちろん最初から美形ですが)になって行く。
コウは……もしかして、主導権を握っている!
あちらから帰って来て落ち着くのかと思いきや、まるでこれが始まりであるかのよう。
ケルト神話は竹比古も興味を持ったことがありますが、ただ神話の中に登場する人ならざる者たちに興味を持っていただけだったんだなぁ、としみじみ。
何より、新しい同居人が現れ、この物語が4部作で続きがあると聞き、さらなる楽しみが増えました。
ほのぼの日常あり、ほのぼのとしていられない非日常ありの続き、心待ちにしています。
追伸
夢の痕2 シンクロ…… の部分が何だか複雑な表記になっています。
ノート6 問いを重ねるていた →問いを重ねていた
>>夜8まで
新鮮な(当然ながら)アルビー視点。
読み進めて思うことが一つ。
彼ら二人はどちらも我慢強い! 相手を傷つけないように持する一人称の独白の数々が、コウ視点の時から本当にじれったい(切ない)。すぐに人を傷つけて自分の心を守ろうとするキャラを書くことが多いせいか(竹比古のことです)、本音を口に出せない彼らが初々しい(そして焦れる)。
もちろん、ドラコとコウの約束も知りたくて仕方がない。
増えたキャラの中でアルビーの立ち位置に同情することも増え、「コウに我儘をぶつけて欲しい」「自分もコウに遠慮なくぶつかりたい」そんな真摯な想いも見え。
テント張るか? とドラコにツッコみながら、ブラウンさん(笑)やドラコの世界に思いを馳せ。増えたチッペンデールに吹き出し……番外を読みに行きたい衝動を抑えて、アルビーの苦悩を我がことのように、恨めしくコウを見つめています(笑)。
やはり、好きです、この作品。
追記
どうぞお役立てください。
夜4 証明は一段落とされ → 照明は一段落とされ
夜5と夜6に同一内容が投稿されています。
第二章ショーン きみの見方だ → きみの味方だ
私の読解力では、アルの複雑さを全て理解するのは難しかったですが、アルビー視点の話を読んでからまたコウ視点の話を読み返すと、1回目に読んだ時とはまた違った感情を抱いたりして、何度も今作と前作を行き来してしまいました。
とても面白いお話でした。
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