夫の葬儀に、私以外の妻が五人来た。 〜地味な正妻の私は、夫に人生を売られた女たちと四十九日までに一家を滅ぼす〜
夫の葬儀に、私以外の「妻」が五人現れた。
人気弁護士・九条直人の正妻として、十七年間彼を支えてきた九条環。
夫の不倫には薄々気づいていた。それでも生活を失うのが怖くて、何も知らないふりを続けてきた。
ところが葬儀の最中、見知らぬ若い女が立ち上がる。
「その人の妻は、私です」
女の指には、環と同じ結婚指輪があった。
続いて名乗り出たのは、子どもを連れた看護師、裕福な女性経営者、夫を崇拝する元依頼人――そして、環が二十年以上信じてきた親友だった。
五人全員が夫から結婚を約束され、全員が自分こそ本当に愛された妻だと信じていた。
騒然とする葬儀の夜、六人のもとへ死んだ夫から同じメールが届く。
『僕を殺した女へ。四十九日までに、全員の嘘を暴け』
添付されていた映像には、ホテルの階段下で瀕死の夫を見下ろす六人の姿が、時間をずらして記録されていた。
六人全員が、夫が死にかけていることを知っていた。
そして誰一人、救急車を呼ばなかった。
夫は女性を救う弁護士として名声を得る一方、弱みを握った女性たちを利用し、借金と秘密で支配していた。
その悪事を知っていた義母。
証拠を消した親族。
夫から金を受け取っていた環の実母。
そして環自身もまた、家庭を守るため、助けを求めてきた一人の女性を追い返した過去を抱えていた。
被害者であることと、無実であることは同じではない。
誰が一番愛されていたのか。
誰が一番傷つけられたのか。
誰の罪なら許されるのか。
六人の女たちは手を組み、裏切り、互いの傷を抉りながら、死んだ夫とその家族が築いた偽善の帝国を崩し始める。
だが復讐を進めるほど、環は夫と同じように、人の弱みを利用することを覚えていく。
「あなた、直人さんより怖いですよ」
そう告げられた環は、静かに微笑んだ。
「そうでしょうね。あの人を十七年も支えたのは、私だもの」
これは、誰の人生でも脇役だった女が、自分の罪まで復讐の道具に変え、すべてを道連れにするまでの物語。
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