『婚約破棄されて返した指輪から、亡き王妃の声が聞こえます ~石の記憶を読む地味令嬢、冷徹皇太子の偽婚約者になりました~』
「セラフィナ・リード。君との婚約を破棄する」
大勢の貴族が集まる夜会で、宝石修復師のセラフィナは婚約者から一方的に捨てられた。
幼い頃から宝石に残された声を聞くことができたセラフィナは、その力を「気味が悪い」と疎まれてきた。今さら婚約者に未練などない――そう自分に言い聞かせ、婚約指輪を外した、そのとき。
青い宝石から、見知らぬ女性の声が聞こえた。
『お願い……ルシアンを、王冠に近づけないで』
それは八年前、不審な死を遂げた王妃の声だった。
しかも指輪は、本来なら王家の宝物庫に封印されているはずの国宝。王妃の言葉を聞いた皇太子ルシアンは、母の死の真相を突き止めるため、セラフィナに命じる。
「王家の宝物庫に入れるのは、王族とその婚約者だけだ。セラフィナ、三か月だけ私の婚約者になれ」
冷徹と恐れられる皇太子と結んだ、期限つきの偽装婚約。
王宮で暮らし始めたセラフィナは、盗まれた真珠、毒を記憶した紅玉、血の涙を流す王冠など、宝石に残された声を手がかりに葬られてきた事件を解き明かしていく。
ところが、最初はセラフィナを利用するだけだったはずのルシアンは、次第に契約以上の執着を見せ始めて――。
「君を守ることまで、偽りにした覚えはない」
死者の声ばかり聞いてきた令嬢と、母を失って誰も信じられなくなった皇太子。
偽物の婚約から始まる、宝石と秘密と不器用な恋の王宮ミステリー。
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