誰が為の理想郷

 「お前、クビな」

 【祝福された炎(ブレスドブレイズ)】という冒険者パーティの中で、荷物持ちという役割ながらも、懸命に、誰よりも努力し、誰よりも仲間の為に奔走してきたアーカイルは、突然の宣告と共に、追放された。
 それは、彼が『ノーギフト』であるからだった。

 『ノーギフト』――天稟無し。
 誰もが天から稟(う)ける「ギフト」と呼ばれる力を持たない者をそう呼ぶのだが、「ギフト」を持つのが当たり前の世界の中で、『ノーギフト』であるアーカイルは、人からも、社会からも虐げられていた。

 そして、それを理由にパーティを追放され、崖から落とされてしまうアーカイル。
 裏切られ、何も成せぬまま死んでしまう――筈だったが、その崖下では運命の出会いが待っていた。

 これは、何も持たず、蔑まれてきた少年が、運命の出会いを切欠に決意を新たにし、世界にその名を轟かせていくストーリー。


※ざまぁ的な展開はありますが、少々先になります。
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