浮気だと婚約破棄されたので出て行きます。聖獣もついてきました
「夜な夜な男のもとへ通っているそうだな。この浮気者め!」
星月祭の夜会で、王太子殿下はわたくしを指差して、そう断罪なさいましたの。
ええ、確かにわたくし、十年間、夜ごとお城を抜け出しておりましたわ。お相手の名は――申し上げられませんの。番人の掟ですもの。
よろしくてよ。婚約破棄、お受けいたしますわ。
けれど城門を出たわたくしの隣に、夜より黒い大きな影が、音もなく並びましたの。
建国以来、王家の戴冠を見届けてきた聖獣・月狼ヴェスパー。わたくしが夜ごと通っていた「お相手」ですわ。
あら、いけませんわ。あなたが出て行ったら、この国、次の戴冠ができませんのよ?
「……ついてくるの、あなたの意思ですからね。わたくし、存じませんからね」
これは、獣にだけは一度も嘘をつかなかった令嬢の、もふもふな亡命の物語。
星月祭の夜会で、王太子殿下はわたくしを指差して、そう断罪なさいましたの。
ええ、確かにわたくし、十年間、夜ごとお城を抜け出しておりましたわ。お相手の名は――申し上げられませんの。番人の掟ですもの。
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