アーザンハウス.バンド

大学生の頃から、抜群の感性と演奏テクニックを具え持ち、人気を得ていたジャズバンド。
アマチュアのアーザンハウス.カルテットのメンバーは、高校時代のブラスバンド部からの同級生で当年37歳。
Piano & Vocalの麻野陽一は、医療機器会社の研究室リーダー。 Guitarの田神隆司は、骨董店「筍伸堂」の跡継ぎ。 Drumの園田雄作は、病院内の社会福祉士で、父親は芸大出身の音楽教授。 Bassは、竹間登……西陣織と丹後縮緬の「反物竹屋」の後継ぎである。
家庭の事情から、結婚を急ぐ必要に駆られた竹間登は、仲間に合コンの設定を頼んだ。
集まった男女の間には、夫々の仕事や個人的な繋がりを通して、多様な関係が生まれる。
ジャズバンド活動と、日常の付き合いの中で、仲の良い四人は、バンド演奏も恋愛についても、互いに気配りをしながら、自分の恋愛も育んでいく。
麻野陽一は、ライブ.パブ《Lava》オーナー石野繁樹の娘、石野優香と恋に落ちるが、優華の軽率な行動と嘘が、陽一との関係を崩壊させる。
娘を案じる石野繁樹は、一方的に陽一に責任を被せ、糾弾した。
陽一のバンド仲間は、《Lava》ではステージ演奏の常連だったが、一切の出演依頼を断り、バンド活動も休止する。
バンド仲間が《Lava》への出演拒否と、関係の断絶を決めたのは、恋愛中だった陽一を事実無根の理屈で一方的に悪者扱いし、苦境に陥れた石野繁樹に対する憤りと反発だった。
バンド活動を休止して三年後、新しいジャズラウンジ《Freddie》のオーナー沼沢英吾から、バンド復活を望まれる。
アーザンハウス.カルテットの演奏を《Freddie》で聞いた石野繁樹は、クリスマスの日に、陽一のピアノ演奏を自宅に来てやってもらえないかと、陽一への伝言を沼沢英吾に託した。
石野家には、陽一のお気に入りのピアノ、ベーゼンドルファーがある。
三年ぶりに訪れた石野家で、優華が演奏しているとき、陽一は勧められて優華の隣に座り、連弾する。
ベーゼンドルファーの前に優華と並んでいる時、楽しく過ごしていた頃のことがフラッシュバックした……。
バンド仲間の友情と、アラフォー.バンドマンの婚活ストーリー。(フィクション)
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