平凡な薬師が勇者に負けた魔王様を拾ってしまった。
いつも通りの朝、いつも通りの仕事、いつも通りの食事。
このまま平凡に生きて、平凡に死ぬんだと思っていた。
それがまさか
魔王を拾ってしまうなんて、思いもしなかった。
世界では、長きにわたり魔族と人間が激しい戦いを繰り広げていた。
戦いは大陸全土に広がり、北は魔族、南は人間の支配下にあった。
人間の権力者は魔族を統べる魔王を倒すため、「魔王を討った者には、どんな望みでも叶えよう」と宣言し、多くの冒険者を募った。
今や人気の職業は冒険者。若者たちは剣を振るい、魔法を磨き、仲間と共に魔王城を目指した。
エマは争いとは縁遠い辺境の村で薬師をしていた。
大陸の端に位置するそこは、魔王城へ向かう冒険者が通ることもなく、産業も乏しく人口も少ない。そのせいで魔族すら寄りつかない、平和な村だった。
ある日、いつものように森へ薬草を採りに出かけたエマは、行き倒れの青年を発見する。
全身に大けがを負った青年を、薬師として見捨てるわけにもいかず、エマは青年を家に運び、看病する。
その頃、街ではこんな噂が広がっていた。「勇者に敗れた魔王が、人間の領土に逃げ出した」と。
※この物語はフィクションです。実際の人物、団体、事件などには一切関係ありません。
※流血表現があります。苦手な方はご注意ください。
※この作品は カクヨム、小説家になろう にも掲載しています。
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