狐松明妖夜 ~きつねのたいまつあやかしのよる~
時は江戸後期。
全国を席巻した未曾有の飢饉を乗り越え、山間のある村では三年ぶりの大祭と芝居が開かれることになり、村は期待に沸き立っていた。
庄屋の姪っ子、紫乃は十五歳。
幼いときに両親を亡くし、庄屋の伯父に育てられてきた。
村一番の器量よしと評判だったが、村一番の剣の使い手であり、村一番の変わり者でもあった。
つねに男のような恰好をして村を闊歩していた。
そんなある日、紫乃は村外れの大木のもとで、暴漢に襲われている男を助ける。
男の名は市河源之丞。
芝居に出演するために江戸から村にやってくる途中だった。
美しい源之丞に生まれてはじめて恋心を覚える紫乃。
だが、そのころ、紫乃にはある縁談が進められていて……
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