僕は幸せになるために復讐したい!

 八年前。記憶喪失になったことがあった。
 気づけば知らない家で目を覚まし、知らない人たちが「家族だ」と言った。
 戸惑いはあったけど、拒む理由はなかった。
 ただ、体の方は何かを覚えているようだった。
 竹刀を握れば、自然と構えができた。
 敵意を感じれば、無意識に体が動いた。
 まるで昔からそうしてきたかのように。

 他に人生の転機があったとすれば、
「この街に“あの使い手”を見ることになるとは思いませんでした」
 ひとりの男が笑ったあの日だろう。
 その目は、僕の知らない“僕”を見ていた。

「上手い。でも……それだけじゃ、また壊しますよ?」

 この男から、僕は戦うことや普通のことを教わった。
 技を磨き、心を鍛え、戦う理由について考えるようになった。
 そんな時間の中で、ようやく“人として生きる”感覚を手に入れた気がする。

 そして今、僕は高校に通い、普通の生活を送っている。
 何でもない日々。少し変わった友達。笑い合える時間。
 それなりに、満ち足りていた。

 ――――あの日までは。

 これは、記憶をなくした僕が、真実に向かって進んでいく物語だ。


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