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第3章 王都オーランド

第34話 襲撃

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 はあ、はあ、はあ、
 私の名はグレン。
 ロメイ商会という店をやっている者だ。
 幼少の頃から父に商売を学び街に出た。
 そしてお客が望むなら遠くの街や、いいや国を渡ってほしいものを手に入れ届けた。
 危険も多く命が危ないこともあったが、なんとかやってきた。
 その功もあっていつのまにか政界にも精通し、上級貴族とも懇意になり信頼を得ることができ一代で財を築いた。
 その間に妻が他界し一人娘が残った。
 何度も再婚を勧められたが、娘が嫁ぐまではその気にはなれなかった。

 男手一つで娘を育ててきたが、私がいうのもなんだが気立ての良い娘に育った。
 だが、その娘も良い縁にも恵まれず20歳を過ぎてしまった。
 婿養子を迎え店を継いでもらうという、私の理想が高いのだろうか。
 話はあっても中々、上手く運ばない。


 半面、周りからの反発は日に日に強くなっていった。
 私は命がけでやってきたから、ここまでになれたのだ。
 それを街にいるだけでなにも努力しない商人たちのくせに。

 ある日のこと近くの公園を散歩中に、ダニエラが賊に襲われそうになった。
 赤い中折れ帽とマントを着た、リスのような小動物が助けてくれたという。
 気が動転していたのだろう。
 きっと通り掛かった誰かが助けてくれたらしい。
 しかもその人は何も言わずどこかに消え、顔も見せていないという。

 捕らえた4人の暴漢は、手足や口の骨が折れて起き上がるのも話すのもやっとだ。
 助けてくれた誰かもきっと必死だったのだろう。
 そんな思いをして助けたのに見返りも求めず、自分の危険をかえりみない人がいるなんて。
 世の中まだまだ捨てたもんじゃないと思った。

 翌日の夕方、会合かいごうに出かける用事があった。
 護衛はすぐには集まらなかった。
 なんとか6人を雇うことができ出かけることになった。

 ダニエラや侍女に止められたが、私がまとめ役をやっている以上は休むわけにはいかない。
 昨日の今日で襲うわけはないと高をくくっていた。
 それが間違いだった。

「えへへへ、どこにいくのかな?もう逃げられないぜ」
 私は賊に囲まれていた。

 その時だった。

〈〈〈〈〈 シューシュー、カチカチムササビ流星拳 〉〉〉〉〉

「「ボカッ!!「「ボカッ!!「「ボカッ!!「「ボカッ!!
  「「ボカッ!!「「ボカッ!!「「ボカッ!!「「ボカッ!!
   「「ボカッ!!「「ボカッ!!「「ボカッ!!「「ボカッ!!

「わっ!な、なんだ?!」
「グェ~!!」
「あべし!!」
「いてぇ~!!」

 するとどうだ?!
 私を囲んでいた男たちが吹き飛ばされるように次々と倒れていく。
 そして私の目の前には全長30cmくらいの、赤い中折れ帽とマントを着たなにかが浮かんでいた。
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