静かな話 小説一覧
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1
【短編038】 三億円:何も変わらなかった。ほとんど。
三十四歳、無職。
日雇いとギャンブルで食いつなぐ男が、ジャンボ宝くじで三億円を当てた。
豪遊、投資、貯金——何をすべきか、男はAIに聞いた。
AIは丁寧に答えた。男は言われた通りにした。
それだけだった。
金は残った。
生活は、細部だけ変わった。
ハルは今日も、窓の外を見ている。
三億円を手にしても「何も変わらなかった」男と、猫と、AIの静かな一年。
2
雨の日だけのお客様〜タオルを渡したその後で〜
19時から翌5時まで営業している、夜のカフェ。
BGMの壊れた雨の日、いつもは静かなそのお客様は、どこか落ち着かない様子だった。
カップの中を鳴るスプーン。
雨音を掻き消すようなミキサーの音。
静かな会話。
温めたミルク。
そして、熱の残る雨色の皿。
雨の日だけ、この店へ逃げ込んでくるお客様と、
その夜を静かに見守る店員のお話。
3
21:00の街
21:00
それぞれの部屋に、それぞれの夜がある
何かが起こるわけではない
誰かの部屋の中で、静かに過ぎていく想い
静かな夜の短編連作
4
【短編046】 膝の上の温度:壊れていくものの傍に、いた。
においで、わかる。
夜だけやってくる"あのひと"の膝の上が、わたしは好きだった。温かかったから。
でも春が終わる頃から、匂いが少しずつ変わり始めた。
壊れていくものの傍で、猫はただ、見ていた。
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