恋愛 友情と愛情小説一覧
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「あ……マリアさんっっ!」
「え、アルシェーヌ様.........…?どうしたんですか?」
午後のお茶の時間にやって来たアルシェーヌ様が、私を見るなり目を見開いて駆け寄ってくる。
今日は週末だからお泊まりの予定で、私の家に泊まることになっているんだけど……一体どうしたんだろう?
「あのっ!新しい聖女様のお披露目式が中止になったって本当ですか!?」
「えっ……?」
アルシェーヌ様の勢いに押されながら答える。
あ、やっぱりそういう話が広まったのかな? 先日、王城で発表された、私が正式に聖女となったお披露目式の中止。
王妃様や王子殿下に反発して……みたいな噂も出回っていたから、アルシェーヌ様も知ってるんだとは思っていたけど……まさか本当だと思われてるなんてびっくりだよ。
「えっと……お披露目式が中止になったのは本当ですけれど……正式な発表はありましたし、延期ですよ?」
“延期”と聞いてアルシェーヌ様が不思議そうに首を傾げる。
そっか、まだ知らないんだ。
「まだ正式ではありませんよ。ただ日取りを延期するだけなんです。それで、今準備を進めているところなんですよ」
「あ、なるほど。じゃあマリアさんが聖女になるのも延期なのですか?」
「それは……どうでしょう?私は正式に決まったわけじゃないので……」
“聖女”だの“神子”だのは『女神様の愛し子』を示す言葉で、どういう基準で選ばれるのか明確になっていない。
ただ聖女ってお仕事が女神様の愛し子を補佐するためにあるから、すでにそのお仕事に就いている人は除外されるんじゃないかっていうのは、なんとなく分かるけど……。
「あれ?でもマリアさんは愛し子様ですよね?」
アルシェーヌ様が不思議そうに首を傾げる。
そう、私……というか神様からの“神託”を受けた私は、『女神様の愛し子』として既にこのお城で働いていることになっている。
だけど正式に就任が決まったわけじゃないから、正式な発表があるまではまだ聖女じゃないわけだよ。
文字数 1,450
最終更新日 2024.01.04
登録日 2024.01.04
拙作「バニシング・ポイント」を菅沼(北村)冴子の側から書いてみました。
好きで好きで、奥さんから奪いたいとまで思っていた大学時代の先輩、衛の死。夫と出向いた告別式で、先輩のかつての妻博美をそこで見た冴子は、晩年の衛の様子を知り、思わず彼女の頬を打ってしまうのですが……
Turning Pointとは改心の意味も持ちます。「バニシング・ポイント」で、後日の博美と冴子の仲の良さがどこからきているのかというご指摘があったので、書き始めた物です。
文字数 24,889
最終更新日 2018.08.12
登録日 2018.07.31
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