ライト文芸 心理ドラマ 小説一覧

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アパシー・ケージ《無感覚の檻》

三年前、世界は一変した。  人間の感情や意志が、不可思議な現象――《異能》として顕現するようになったのだ。  怒りは激しい炎となり、守り抜きたいという願いは固い障壁へと形を変える。  強い自我を持つ者ほど強い力を得る。それが、新たな世界の常識だった。  だが、誰にも破れない「絶対の防御」を手にしたのは、強い意志を持つ者たちではなかった。  夢も怒りも、「こうありたい」という願いさえ手放し、何も望まなくなった人々。  彼らの周囲では、炎も、衝撃波も、精神へ干渉する力も、あらゆる異能が効力を失う。  その現象は、《アパシー・ケージ――無感覚の檻》と呼ばれた。  十九歳の蒼井湊人は、かつて「神童」と呼ばれたヴァイオリニストだった。  しかし三年前、国際コンクールの決勝で突然演奏できなくなり、それ以来、人前で一音も弾けずにいる。  それでも、ヴァイオリンを捨てることだけはできなかった。  そんな湊人が持つ異能《痛覚接続》は、人々が心の奥へ押し込めた痛みや、諦めた願いに触れる力だった。  ある日、湊人のもとに、一人の女性から「夫が何を考えているのか分からなくなった」という相談が持ち込まれる。  夫の二宮誠一は、かつて画家を志していた会社員だった。しかし夢を諦めて二十年以上が経ち、今では何を望んでいたのかさえ語ろうとしない。  二宮もまた、《アパシー・ケージ》を纏う一人だった。  そんな彼に目をつけたのが、《アパシー・ケージ》によって異能の届かない「誰も傷つかない街」を作ろうとする《楽園機構》。  やがて二宮は、自ら楽園機構のもとへ向かってしまう。  彼を連れ戻すことが、本当に正しいのか。  迷いながらも、湊人は幼馴染のひなたとともに楽園機構へ向かう。
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嫉妬というゲーム ― 見抜きの一閃 ―

妻の趣味だったイラストが、ある日を境に仕事へと変わっていく。 LINEスタンプ、グッズ販売、市のPRキャラ、企業案件――。 次々と成功していく妻・まどかを、夫の直樹は誰より近くで見守っていた。 頼れる夫でいたい。支える側でいたい。そう思っているはずなのに、妻が自分の知らない場所で評価され、自分の手を離れていくたび、心の奥に言いようのない冷たさが広がっていく。 これは、愛しているはずの相手に抱いてしまった感情を、見て見ぬふりできなくなる物語。 静かに積み上がる成功。 静かに壊れていく夫。 最後に妻が見抜いたものとは――。 嫉妬と愛情が交差する、夫婦の心理劇。
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