人生回顧 小説一覧

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【短編024】 お礼回り:お礼の旅の終わりに残るもの

七十八年分の住所録を手に、富子は「ありがとう」を言い残した人々を訪ねていく。すでに消えた住所、変わってしまった記憶、そして変わらず残っていた想い。人と人のあいだに静かに積もった時間を辿るうちに、彼女自身の名前だけが最後に残っていく――。
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死の間際で思い出した、私は乙女ゲームのヒロインだった

死の床で、五十年連れ添った夫の手を握りながら、私は自分の人生を振り返っていた。 派手ではなかったけれど、穏やかで、満ち足りた日々。 ――そのとき、突如として現れたのは、かつて夢中で遊んだ乙女ゲームの“プレイログ”。 私はこの世界で、ヒロインとして生きていたらしい。 王太子の求婚、華やかな夜会、数々の「正解ルート」。 けれど私が選んだのは、 名も残らない、地味な伴侶との人生だった。 屋台の煙、手の温度、若い日の記憶の断片。 平凡で騒がしくて、愛おしい五十年。 死の間際、彼女が最後に思い出したのは―― 「攻略」ではなく、「幸せだった人生」そのものだった。
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