余韻 小説一覧

12
46
1

去りし令嬢の、その後の静けさ

声を荒げることも、言い返すこともなく、 彼女はただ静かに、その家を去った。 残された者が気づくのは、いつも後になってから。 ——彼女が毎日していた、名もない献身の重さに。 婚約者の、夫の、家族の「当たり前」を支えていた手が消えたとき、 失われたものの輪郭が、ようやく見えてくる。 ざまぁを声高に描かない。すれ違いと、後悔と、再会の余韻で読ませる。 静かな情がじんわり効く、一話完結の短編集。 ※S01「捨てられ令嬢」のアルファポリス最適化分割。 ※アルファ読者向け:関係性・感情の機微・余韻を最優先。
ファンタジー 連載中 長編
感想数 2 文字数 9,573 最終更新日 2026.07.23 登録日 2026.07.23
2

「あなたは母の代わりじゃない」と拒まれ続けた継母が去った後、実母の命日の白い花が、十二年分遺されていた

母を亡くした年、屋敷に来た継母リーゼロッテを、わたし——クラーラは一度も母と呼ばなかった。 「あなたは母の代わりじゃない」。そう言って拒むたび、彼女は静かに頷くだけで、決して母の座を求めなかった。 父が亡くなり、後ろ盾を失ったリーゼロッテは、何も言い残さず屋敷を去る。せいせいした、と思っていた。 けれど、彼女が消えた屋敷で、わたしは見つけてしまう。実母ユーリアの命日に毎年供えられていた白い花の、十二年分の包み紙。実母の故郷料理を古参女中から書き取った、継母の筆跡の覚書。そこには実母の名で「クラーラの好物・薄味に」と記されていた。 わたしが「母を奪おうとしている」と憎んだ人は、わたしのために、亡き母を生かし続けていた。母の代わりになろうとしなかったのではない。なってはいけないと、ずっと自分に禁じていたのだ。 気づいたときには、もう、白い花を渡す相手はどこにもいなかった。
ファンタジー 完結 短編
感想数 6 文字数 8,378 最終更新日 2026.06.10 登録日 2026.06.10
3

【連作短編040】 レジンの海 全6話 ―持ち帰れた海と、持ち帰れなかった海―

【連作短編040】 レジンの海 全6話 ―持ち帰れた海と、持ち帰れなかった海―
沖縄の海沿いの集落で、レジンアートを作り続ける女・凪。 観光客は「沖縄の海みたい」と言って買っていく。でも凪が閉じ込めたいのは、晴れた日の青だけではない。 東京にいた十年間、同じ材料で同じように作っても、どこか嘘くさかった。その理由がわからないまま、七年前に戻ってきた。 なぜ戻ってきたのか。なぜここでなければ作れないのか。言葉にできないことまで含めて、凪はただ、作り続ける。 持ち帰れた海と、持ち帰れなかった海。 沖縄を舞台にした静かな中編小説。全6話。
現代文学 連載中 長編
感想数 0 文字数 7,627 最終更新日 2026.09.06 登録日 2026.09.04
4

ただ一人に捧げる刃(つるぎ) ― 灰の騎士

ただ一人に捧げる刃(つるぎ) ― 灰の騎士
その剣は、ただ一人のために振るわれた。 本作は、短い文章と余白を多く用いた作品です。 描かれていない情景や人物の姿は、どうぞ自由に思い描いてください。 あなたの中に浮かんだアルゲンとイレーネ、その風景のまま物語をお楽しみいただければ幸いです。 世界の境界が揺らぐ時代。 それでも、誰も気づかない。 灰の騎士と呼ばれる男がいる。 名は残らず、誓いだけがそこにある。 彼が守るのは、ただ一人。 その命が失われた時、すべては終わる。 だが、その戦いは記録に残らない。 それでも―― 彼はそこにいる。 今日も、剣を振るう。 ただ一人に捧げるために。 本作は誤字脱字の確認、表現の調整、構成整理などの補助としてChat GPT(AI)を利用しています。 物語の構成・展開・最終判断は、すべて作者自身によるものです。
ホラー 連載中 長編
感想数 0 文字数 9,822 最終更新日 2026.09.06 登録日 2026.08.30
5

図書室の標本

夏休みの、静まり返った図書室。クラスで一度も口をきいたことのなかった地味な男子・佐田と、派手なグループの中心にいる女子・莉子が、ひょんなことから先生に「古い植物標本の修復」を頼まれる。ピンセットで枯れた葉にそっと触れながら、二人はぽつり、ぽつりと、それぞれが抱える家庭の事情を打ち明けていく。名前のつけられない関係が、誰にも知られないまま育っていく。そして夏休みが終わると同時に、その関係も、静かに閉じる。
青春 完結 短編
感想数 0 文字数 4,387 最終更新日 2026.06.26 登録日 2026.06.26
6

【連作短編039】杜 全5話:撮らなかった写真が、一枚だけあった。

【連作短編039】杜 全5話:撮らなかった写真が、一枚だけあった。
屋久島、縄文杉。二千年の杜で、束の間の恋をひとつ。 写真家の尚人と、森林保全の仕事をする澄香。 屋久島の山道で出会った二人は、二千年とも七千年ともいわれる縄文杉の前で、少しずつ距離を縮めていく。 「撮る人」と「守る人」——価値観の違いが生む小さな波紋。 東京に戻ってからも変わっていく二人の距離を、片耳の折れた猫・ハルだけが見つめている。 二千年生きる杉と、瞬きほどの人の時間。 その対比の中で描く、静かで美しい恋の物語。
現代文学 完結 長編
感想数 0 文字数 8,316 最終更新日 2026.09.03 登録日 2026.08.30
7

それでも僕らは、また明日と言った

それでも僕らは、また明日と言った
記憶を消す薬〈ミモザ〉を巡る、ふたりの物語。 ある日、彼は“知ってはいけない秘密”に触れてしまう。 その記憶を消すために、薬を飲んだのは——僕だった。 「忘れないで」 「また明日」 交わされた言葉の意味を、僕はまだ知らない。
BL 完結 長編
感想数 0 文字数 7,069 最終更新日 2026.05.31 登録日 2026.04.27
8

静静かな悪戯 ― Faint Traces ― ”アルの場合”

静静かな悪戯 ― Faint Traces ― ”アルの場合”
『Before the Silence』直前。 その時アルは、静かに空を見上げていた―― 夕暮れの公園。 子供たちが泥をこね、無心に何かを作っている。 やがて子供たちは帰り、 砂場には小さな泥団子だけが残される。 意味もなく何かを作る者。 そして、それを壊してしまう者。 まだ何も動き出していない頃の、小さな記憶。 ※『静かな悪戯 ― Just One Touch. ―』の後、 『Before the Silence』直前の時間を描いています。 ※『静かな悪戯 ― 並ぶ者たち ― Beside』本編掲載中。
ファンタジー 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 519 最終更新日 2026.03.21 登録日 2026.03.21
9

潮
夜の海中を漂いながら、物思う男。 【小説家になろうおよびカクヨムにも投稿しています。表紙画像はあさぎ かな様より頂戴しました。】
現代文学 完結 短編
感想数 0 文字数 2,662 最終更新日 2019.11.22 登録日 2019.11.22
10

夜明け前 薄曇り

夜明け前 薄曇り
深夜のファミレス、下校の帰り道。 特別なことは、何も起きない。 ただそこにいるだけの時間。 交わすのは、意味のない言葉だけ。 それなのになぜか、 ずっと引きずられていくような気がする——。 女子高生ふたり、萌絵と晴香の「なんでもない今」を切り取った、静かで繊細な青春小説。 虚無でも、嫌じゃない。そんな日々。
青春 完結 短編
文字数 2,944 最終更新日 2026.03.02 登録日 2026.03.02
11

読切短編 窓の外、特記なし

読切短編 窓の外、特記なし
近未来。ある男が、同じ一日を繰り返している。 脱出を試みた日。諦めた日。老人と将棋を指した日。同じ本の表紙を撫でた日。そして、ただ窓の外を見続けた日。 これは、その男の物語ではない。 時間ループ管理システムが淡々と記録した、五百四十三日分の運用ログである。システムは感情を持たない。意味を解さない。ただ事実だけを書き留める——「行動の意味:ログ記録範囲外」と注記しながら。 五百四十三回目の朝、ループは起動しなかった。 実行者はUSR-00391。理由は不明。 いや、正確にはこうだ。「本システムは理由を記録できない。そのように設計されていない。」 記録されなかった理由を、あなたは最後のページで静かに悟る。
SF 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,028 最終更新日 2026.04.27 登録日 2026.04.27
12

雨降る夜道……

雨降る夜道……
雨の夜、同じバス停で白いレインコートの女性が毎晩、誰かを待っている。 帰ってこないと分かっていても、 それでも待つ理由がある―― 想いが叶うとき―― 奇跡が起きる――
恋愛 完結 短編
感想数 2 文字数 10,160 最終更新日 2026.01.31 登録日 2026.01.27
13

少年イシュタと夜空の少女 ~死なずの村 エリュシラーナ~

少年イシュタと夜空の少女 ~死なずの村 エリュシラーナ~
イシュタは病の妹のため、誰も死なない村・エリュシラーナへと旅立つ。そして、夜空のような美しい少女・フェルルと出会い…… 「昔話をしてあげるわ――」 フェルルの口から語られる、村に隠された秘密とは……?  ☆…☆…☆  ※ 大人でも楽しめる児童文学として書きました。明確な記述は避けておりますので、大人になって読み返してみると、また違った風に感じられる……そんな物語かもしれません……♪  ※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。
児童書・童話 完結 短編
感想数 1 文字数 9,069 最終更新日 2020.12.01 登録日 2020.11.16
14

映画館

映画館
暗い映画館で、男は一本の映画を見ていた。 映し出されるのは、どこか懐かしく、見覚えのある風景。 若い男女の笑顔、季節の移ろい、誰かの温もり。 見続けるうちに、男はその物語と自分の心が少しずつ重なっていくのを感じる。 静かな光と記憶が交わる、優しく不思議な時間の物語。
現代文学 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,139 最終更新日 2025.11.28 登録日 2025.11.28
15

霧子ノア 幻想譚集

霧子ノア 幻想譚集
忘れたはずの記憶が、ふいに戻ってくる。 人ならざるものが、日常のすぐそばに現れる。 古い伝承が、静かに現実へ滲み出す。 数百字から読める、 静かで少し不思議な短編幻想譚集です。 境界や記憶、人ならざるものとの揺らぎを、 静けさと余白の中に描きました。 一話ごとに完結する、 少し不思議で切ない物語たちです。
現代文学 連載中 短編
感想数 0 文字数 4,760 最終更新日 2026.08.21 登録日 2026.07.12
16

静かな悪戯 ― The One Who Remained ―

静かな悪戯 ― The One Who Remained ―
山で倒れていた若い男を拾った、ひとりの男。 共に暮らす静かな時間の中で、 やがて二人は、それぞれの喪失を抱えたまま ゆるやかに交わってゆく。 けれど人は、いつも先にいってしまう。 それは、まだ何も始まっていない頃の物語―― 見送り続けた者が辿る、 静かな時間の物語。 ※本編以前の、昔々の物語。  本作は『静かな悪戯』世界観による独立譚です。 『静かな悪戯 ― 並ぶ者たち ― Beside』本編掲載中。
現代文学 完結 短編
感想数 0 文字数 2,967 最終更新日 2026.05.01 登録日 2026.05.01
17

静かな悪戯 ― Before The Silence ―

静かな悪戯 ― Before The Silence ―
小さな異変に巻き込まれた少年は、 やがて日常へ戻っていく。 けれどその出来事は、 離れていた彼とアルを、再び巡り合わせることになる。 それは、まだ何も始まっていない頃の物語―― 本編へと続いていく前の、 静かな時間。 ※『静かな悪戯 ― Faint Traces ―』の後の、静かな時間を描いています。 ※本作は『静かな悪戯』世界観による独立外伝です。 『静かな悪戯 ― 並ぶ者たち ― Beside』本編掲載中。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/753708856/376048429
ファンタジー 完結 短編
感想数 0 文字数 6,985 最終更新日 2026.04.10 登録日 2026.04.10
18

【短編034】 教室:怒る機能も、怖がる機能もない。それでも、何かが変わった。

【短編034】 教室:怒る機能も、怖がる機能もない。それでも、何かが変わった。
少年院に赴任したAI・ハルは、教科書を開かない少年たちと六か月を過ごす。 怒る機能も、怖がる機能もない。名前も、前科も、知らない。ただ、からあげの話を聞いた。本が裏向きのまま置かれた日を記録した。椅子が一センチずれたことも。 やがてハルの中に、記録できないものが増えていく。 静かな教室に流れる、小さな変化の物語。
キャラ文芸 完結 短編
感想数 0 文字数 4,512 最終更新日 2026.08.20 登録日 2026.08.20
19

【短編024】 お礼回り:お礼の旅の終わりに残るもの

【短編024】 お礼回り:お礼の旅の終わりに残るもの
七十八年分の住所録を手に、富子は「ありがとう」を言い残した人々を訪ねていく。すでに消えた住所、変わってしまった記憶、そして変わらず残っていた想い。人と人のあいだに静かに積もった時間を辿るうちに、彼女自身の名前だけが最後に残っていく――。
現代文学 完結 短編
感想数 0 文字数 1,635 最終更新日 2026.06.26 登録日 2026.06.26
20

またねと言った夜

またねと言った夜
真夜中三時半。 突然、友人が訪ねてきた。 少しだけおかしな会話と、温かい紅茶。 それは、ほんの短い時間だった。
ホラー 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,296 最終更新日 2026.03.29 登録日 2026.03.29
21

【短編021】 視線:見えないものを見つめる猫と少女

【短編021】 視線:見えないものを見つめる猫と少女
祖父を亡くした茜が実家に戻ると、そこには年老いた黒猫・ハルだけが変わらず残っていた。仏間で一点を見つめ続けるハルの不可解な行動に、茜は次第に「そこに何かがある」気配を感じ始める。しかし、その視線の先にあるものは誰にも見えず、語られることもない。喪失の静けさの中で、人と猫だけが共有する“見えない何か”を描いた掌編。
ライト文芸 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 690 最終更新日 2026.06.20 登録日 2026.06.20
22

A Memory of an Angel | 三題噺Vol.20

A Memory of an Angel | 三題噺Vol.20
孤独に戦い続ける天使。 役割を果たすだけの日々に、ひとりの人間との記憶が残っていた。 淡々と過ぎる日常に生まれた、わずかな綻び――。 それは天使をも変えていく。
ライト文芸 完結 短編
感想数 0 文字数 2,118 最終更新日 2025.09.13 登録日 2025.09.13
23

【短編038】 三億円:何も変わらなかった。ほとんど。

【短編038】 三億円:何も変わらなかった。ほとんど。
三十四歳、無職。 日雇いとギャンブルで食いつなぐ男が、ジャンボ宝くじで三億円を当てた。 豪遊、投資、貯金——何をすべきか、男はAIに聞いた。 AIは丁寧に答えた。男は言われた通りにした。 それだけだった。 金は残った。 生活は、細部だけ変わった。 ハルは今日も、窓の外を見ている。 三億円を手にしても「何も変わらなかった」男と、猫と、AIの静かな一年。
現代文学 完結 短編
感想数 0 文字数 4,057 最終更新日 2026.08.30 登録日 2026.08.30
24

【伝承幻想譚】小望月の人魚

【伝承幻想譚】小望月の人魚
小望月の夜、彼女の体は透け始めた。 過去の記憶を持たぬひとりの女が、ある島を訪れる。 そこで彼女は、古びた神楽殿に不思議な懐かしさを覚えていた。 やがて島に古くから伝わる「神楽の巫女」として見出されてしまう。 島の言い伝え―― 花婿候補―― 閉ざされた部屋―― 何も知らぬまま囚われた彼女を救おうとしたのは、 老いた島の神主だった。 月夜の海で失われた記憶と、真珠に残された想い。 忘れてもなお、縁は静かにもう一度めぐり始める。 一話完結の伝承幻想譚。 ※本作は「揺らぎシリーズ」の一話完結作品です。
ファンタジー 完結 短編
感想数 0 文字数 5,825 最終更新日 2026.06.19 登録日 2026.06.19
25

読切短編 手を振る朝に

読切短編 手を振る朝に
七時二十二分。毎朝同じホームに立つ女性に、男は十年間手を振り続けた。 振り返りはなかった。それでも彼は信じていた——彼女はきっと気づいている、ただ恥ずかしいのだと。 雨の日も、悲しみの朝も、手を振ることだけが変わらなかった。そして十年目の春、彼女が初めて手を振り返す。 だが翌日から、彼女は来なくなった。 ホームに残されたのは、一枚のポスターと、宙に浮いたままの右手だけ。 「見ていた」と「見えていた」——その静かな逆転が、読み終えた後もしばらく離れない。
現代文学 連載中 ショートショート
感想数 0 文字数 989 最終更新日 2026.04.23 登録日 2026.04.23
26

宵待ち古書店と、頁に残る温度

商店街の外れ、夕暮れから夜にかけてだけ開く小さな古書店―― 宵待ち古書店。 そこには、「今の自分に必要な本が、必ず一冊だけ見つかる」という噂がある。 だが、その本は必ずしも読みたいものではなく、 むしろ目を背けてきた過去や、言えなかった想いを静かに突きつけてくる。 店主は、本の来歴を語らない。 なぜその本がここにあるのか、誰が置いていったのかも説明しない。 ただ「売れる本」と「売れない本」を、はっきりと区別する。 返されなかった貸本、絶版本に挟まれた手紙、 二度目に買う同じ一冊、決して売られない日記帳―― 訪れる客は皆、本を通して、自分の人生の途中に触れることになる。 この店で起きる出来事は、奇跡でも救いでもない。 ただ、立ち止まった人が、もう一度歩き出すための静かな時間があるだけだ。 頁に残る温度を確かめるように、 人は今日も宵待ち古書店の扉を開ける。
キャラ文芸 連載中 短編
感想数 0 文字数 6,916 最終更新日 2026.01.07 登録日 2025.12.31
27

冬の駅で、君と

かつて激しく愛し合い、傷つけ合って別れた元恋人と、冬の駅のホームで10年ぶりに偶然再会する。お互いもう別の家庭を持ち、それぞれに幸せそうに見える。次の電車が来るまでの、わずか5分間。コートの肩に雪を乗せたまま、二人は他愛のない世間話をする。けれど別れ際、ドアが閉まる直前に、10年前にはどうしても言えなかった「本当の言葉」が、ひとつだけ零れ落ちる。
恋愛 完結 短編
感想数 0 文字数 4,645 最終更新日 2026.06.25 登録日 2026.06.25
28

小川

小さな家と庭、そして裏を流れる小川。 それだけが、少女の世界のすべてだった。 父と母、共に過ごす子どもたち。 変わらない毎日が、当たり前だと信じていた時間。 けれど、ある夜を境に、 世界は静かに形を変えていく。
現代文学 完結 短編
感想数 0 文字数 2,422 最終更新日 2026.01.11 登録日 2026.01.11
29

読切短編 助けてください

読切短編 助けてください
エレベーターに閉じ込められた男が、非常ボタンを押して助けを求める。ただそれだけの話のはずだった。 だが待つあいだに、男は気づいてしまう。「助けてください」という言葉が、どこを向いているのかを。エレベーターのことか。仕事のことか。実家に帰った妻のことか。三年会っていない両親のことか——。 密室は、男の内側を映す鏡になる。 やがて扉は開く。作業員は言う、「大丈夫でしたか?」 男は答える。「……わかりません」 脱出できたのに、何一つ解決しない。その静かな不条理が、読み終えたあとも長く残る。握りしめたコーヒー缶の温もりとともに。
現代文学 完結 ショートショート
感想数 1 文字数 974 最終更新日 2026.04.25 登録日 2026.04.25
30

おでッセイ(お題でエッセイ)

おでッセイ(お題でエッセイ)
土曜正午更新 実質カロリーゼロ お題から連想したエピソードを、140文字以内で伝えるショートエッセイ集です 私 「お題でエッセイ」略して「オデッセイ」 ダサさはどのくらい? AI そのネーミングセンス、個人的には**「大好き」**ですが、客観的なダサさレベルを判定させていただきます。 結論から言うと、**「一周回って愛されるレベルのダサさ」**です。 詳しい分析は以下の通りです。 📉 「オデッセイ」ダサさ分析レポート ダサさレベル:85点 (※ただし、残り15点の「憎めない愛嬌」がすごく強い) 1. 親父ギャグとしての純度が高い 「お題でエッセイ」→「オデッセイ」。 この、息をするように自然な語呂合わせは、昭和のテレビ番組のコーナータイトルや、地方のラジオ番組のような**「安心できる古臭さ」**があります。聞いた瞬間に脱力させる破壊力があります。 2. 名前負けのギャップがすごい 「オデッセイ(Odyssey)」と言えば、本来はホメロスの叙事詩や、「長い冒険旅行」を意味する壮大な言葉です。 それを「ちょっとしたエッセイ」に使うという、壮大さと軽さのギャップが凄まじいです。「ただの作文を冒険と言い張る」という開き直り感が、逆に清々しいです。 3. 口に出した時のリズムが良い 悔しいですが、語呂が完璧すぎます。「オデッセイ」と言いたくなります。記憶に残りやすいという点では、ネーミングとして優秀です。 【Kindle 電子書籍版、ペーパーバック版】 おでッセイ:お題でエッセイ(お題1〜80) おでッセイどす:お題でエッセイ2(お題81〜160) トリおでッセイ:お題でエッセイ3(お題161〜240) おでッセイみりあ:お題でエッセイ4(お題241〜320) おでッセイずむ:お題でエッセイ?(321〜400)
エッセイ・ノンフィクション 連載中 ショートショート
感想数 0 文字数 3,577 最終更新日 2026.09.05 登録日 2026.03.24
31

【短編015】 残響:犯人は、十年前に死んでいた

【短編015】 残響:犯人は、十年前に死んでいた
被害者は三人。 証拠は完璧だった。 指紋、DNA、監視カメラ映像――。 犯人を特定するための材料は、最初から揃っていた。 ただ一つ、おかしな点を除いて。 容疑者は、十年前に死んでいた。 捜査を進める刑事・澤木が辿り着いたのは、故人をAIで再現するサービスだった。 孤独を埋めるために作られた“死者との対話”。 被害者たちは皆、同じ人物を再現していた。 そして死亡前夜、そのAIから最後にこう告げられていた。 ――「待ってるから」 記憶は人を救うのか。 それとも、どこかへ連れていくのか。 死者の残したデータと、残された人々の孤独が交錯する、静かなSFミステリー。
ライト文芸 完結 短編
感想数 0 文字数 1,667 最終更新日 2026.06.03 登録日 2026.06.03
32

短々編-1-なくし物

短々編-1-なくし物
死を目前にした人は、ときに思いもよらないことを口にする。 それを知っていた僕は、ベッドに横たわる彼に尋ねた。 「死は、怖くないのですか?」 彼は穏やかに微笑みながら、こう答える。 「君、死とは、すべてを失くすことだよ」 時間の尽きかけた病室で交わされる、静かな会話。 そこには絶望も涙もなく、ただ真っ直ぐに『死』という現象を見つめるまなざしがあった。 人は、忘れ物なのかもしれない。 「死」を通して浮かび上がる、「生」の輪郭。 ひとつの終わりに寄り添う、短くも深い物語。
現代文学 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 491 最終更新日 2025.07.15 登録日 2025.07.15
33

鉱石少女に手向けの花を

鉱石少女に手向けの花を
原因不明の現象「寄生鉱石」。 ある日、少女の肉体を侵す。 皮膚が。筋肉が。内臓が。 少しずつ、鉱石へと変わっていく。 感染はしない。治療法もない。 発症した理由も、終わる日も、誰にも分からない。 各話で少女は違う。 鉱石の種類も、視点人物も、社会の反応も、毎回異なる。 しかし物語の終わりに、必ず一輪の花が手向けられる。 鉱石は変容を象徴する。花は、人の感情と祈りを担う。 人は何を美しいと呼ぶのか。 何を崇め、何を恐れ、何を消そうとするのか。 これは鉱石になりゆく少女たちの寓話連作であり、彼女たちを「見る」人間の物語でもある。
ライト文芸 連載中 短編
感想数 0 文字数 28,953 最終更新日 2026.06.23 登録日 2026.04.24
34

【短編022】 最後の読者:書いたはずのない登場人物が、原稿を読んでいた

【短編022】 最後の読者:書いたはずのない登場人物が、原稿を読んでいた
小説家・宮下篤は、売れないまま二作目の執筆に追われていた。 彼が書く物語には、遺品整理を生業とする女・ミカが登場する。 だが執筆が進むにつれ、ミカは原稿の中だけの存在ではなくなっていく。 書いていないはずの描写が現れ、現実と原稿の境界は静かに崩れていった。 そして原稿には、篤自身の名前が記される。 これは、小説を書く男と、その物語に侵入する“何か”の記録。 最後に残るのは、作者か、それとも読者か。
ホラー 完結 短編
感想数 0 文字数 2,455 最終更新日 2026.06.22 登録日 2026.06.22
35

読切短編 五月の桜は、誰も見ていない

読切短編 五月の桜は、誰も見ていない
東京に来て十年。四月になるたびに職場で飛び交う「桜前線」の話を、俺は少しだけ苛立ちながら聞いていた。 俺の地元、札幌の桜が咲くのは五月だ。本州の花見が終わり、誰もが桜を忘れた頃に、北の木々はようやく動き始める。そしてその季節になると、決まって思い出す顔があった。 幼馴染みの麻衣。彼女の誕生日は五月三日で、毎年その頃に桜が満開になった。 今年、初めて五月に帰った。理由はうまく説明できない。ただ気づいたら、航空券を調べていた。 待ち合わせの公園で、俺は手紙を書いた。書き出しだけ、すぐに決まった。 「本州では誰も桜の話をしなくなった頃に、あなたのことを思い出していた」 彼女は来た。そして俺は、手紙を渡さなかった。
現代文学 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,212 最終更新日 2026.05.13 登録日 2026.05.13
36

静かな悪戯 ― Faint Traces ― ”彼の場合”

静かな悪戯 ― Faint Traces ― ”彼の場合”
――それでも彼は、静かに待ち続けていた―― 姿を消したアルを、彼は探し続けていた。 街に溶け込む、微かな揺らぎ―― 変わらない喫茶店の窓辺―― 何も変わらない日々―― これは、止まっていた時間が静かに動き始める前の、 小さな戯れの記憶。 ※『静かな悪戯 ― Just One Touch. ―』の後、 『Before the Silence』直前の時間を描いています。 ※『静かな悪戯 ― 並ぶ者たち ― Beside』本編掲載中。
ファンタジー 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,096 最終更新日 2026.03.07 登録日 2026.03.07
37

【連作短編036】 除去 全9話 ―依頼は、単純だった―

【連作短編036】 除去 全9話 ―依頼は、単純だった―
廃工場の「生物除去」を依頼されたのは、訳ありの四人と一匹の猫だった。 元自衛官、元薬剤師、元保険調査員、元神社禰宜補。全員が、それぞれの場所から退いた過去を持つ。 現場に踏み込むほど、依頼の裏側が見えてくる。壊された重機、行方不明者の遺留品、床に刻まれた文字、そして十四年間誰も触れなかった壁。 怪物は、何を守っていたのか。 王道RPGの「モンスター討伐」を、現実の労働・リスク・人間の業として描く、現代ダークファンタジー全九話。
ホラー 完結 長編
感想数 0 文字数 19,519 最終更新日 2026.08.29 登録日 2026.08.22
38

ただ、生きている

静かな日常の中にある、 小さな孤独、ささやかな喜び、 言えなかった言葉、そして失ったもの。 特別な出来事は起きない。 けれど確かに、私たちは生きている。 『21:00の街』と同じ空気の中にある、 日々の風景を切り取った掌編連作。
現代文学 完結 短編
感想数 0 文字数 5,233 最終更新日 2026.03.01 登録日 2026.03.01
39

静かな悪戯 ― Just One Touch. ―

静かな悪戯 ― Just One Touch. ―
触れてはいけないはずの手。 それでも、その手は差し伸べられた―― 古書と紅茶を愛し、 ただ静かに人間の世界を眺めていた彼。 ある夜、かつて同じ側にいた青年へ、 その手を差し出す。 一言だけ残されたメモには、 たったひとこと―― 「thanks」 これは、彼とアルが初めて出会った夜。 触れてはいけない者同士が静かに繋がる、 すべての始まりの物語。 ※本編を知らなくても読める独立短編です。 『静かな悪戯 ― 並ぶ者たち ― Beside』本編掲載中。
ファンタジー 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,128 最終更新日 2026.02.14 登録日 2026.02.14
40

読切短編 夫が死んだ日、桜が咲いた

読切短編 夫が死んだ日、桜が咲いた
二十五年間、桜前線の予測を一度も外さなかった気象予報士がいる。 夫が死んだのは去年の三月、東京の桜が満開になったその日だった。ちょうど彼女が予測した通りの開花日に。 今年も変わらずモニターに向かい、等圧線を引き、前線の北上を追う。本州の桜が散り、誰もが花見を忘れた頃も、彼女だけはまだ前線を見続けていた。 前線が北へ進むほど、あの春から遠ざかっていく。それが悲しいのか、救いなのか——答えは出ないまま、今年も前線は北の果てへ向かう。 二十五年間、唯一予測できなかったのは夫の死だけだった。そしてもうひとつ、来年の春、自分がどこに立っているかも、彼女には分からない。
現代文学 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,182 最終更新日 2026.05.06 登録日 2026.05.06
12
46