第9回キャラ文芸大賞
選考概要
878作の応募があった第9回キャラ文芸大賞。その中で一次選考を通過したのは39作品。人気ジャンルである中華後宮もののエントリーが多く見られた一方で、和風恋愛ストーリーや、現代を舞台にした謎解き小説なども寄せられ、多彩かつ魅力的な作品が集まる結果となった。
その後さらに検討を進め、編集部内で大賞候補としたのは、「行き遅れた私は、今日も幼なじみの皇帝を足蹴にする」「あやかし帝都の婚姻譚 〜浄癒の花嫁が祓魔の軍人に溺愛されるまで〜」「身代わり妃は後宮で失せ物の夢を見る」「呪われ作家と、小さなワケあり霊能者」「鳥籠の華は皇后選定を乗り切りたいっ! ──呪われた皇帝を救いましょう──」「紅玉楽師は後宮の音を聞く 〜生き残りたい私の脱走計画〜」の6作品。
これらの候補作の中で、個性溢れるキャラクターとテンポの良い展開が編集部内で高く評価された「行き遅れた私は、今日も幼なじみの皇帝を足蹴にする」を大賞に選出。すでに決まっていた読者賞と合わせてW受賞となった。さらにテーマ別賞として、大正×あやかしの世界観が魅力的な「あやかし帝都の婚姻譚 〜浄癒の花嫁が祓魔の軍人に溺愛されるまで〜」にあやかし賞を授与。心情描写の巧みさが光る「身代わり妃は後宮で失せ物の夢を見る」、後宮の謎と異能が緻密に絡み合う「鳥籠の華は皇后選定を乗り切りたいっ! ──呪われた皇帝を救いましょう──」、聴覚に優れる主人公というキャラ設定がユニークな「紅玉楽師は後宮の音を聞く 〜生き残りたい私の脱走計画〜」の3作品を後宮賞に選出した。また怪異の謎に個性豊かな登場人物が挑む「呪われ作家と、小さなワケあり霊能者」に謎解き賞を授与。その他、最終選考に残ったものの、惜しくも授賞に至らなかった作品を奨励賞とした。
「行き遅れた私は、今日も幼なじみの皇帝を足蹴にする」は、神仙術士として活躍する主人公のもとへ、皇帝となった幼なじみが訪れる場面から幕を開ける後宮ミステリー。主人公が優れた神仙術の腕と持ち前の行動力を武器に事件を解決していく様子が爽快だった。またそれだけでなく、後宮を取り巻く登場人物たちもそれぞれ個性的に描かれており、人物描写の豊かさも編集部内で高い評価を得た。
「あやかし帝都の婚姻譚 〜浄癒の花嫁が祓魔の軍人に溺愛されるまで〜」は、家族に虐げられていた主人公が帝国陸軍の軍人に見初められ幸せを掴む和風シンデレラストーリー。あやかしが息づく大正時代という世界観が丁寧に作り込まれており、その中で、徐々に心を通わせていく二人が印象的だった。
「身代わり妃は後宮で失せ物の夢を見る」は、従姉妹の代わりに後宮へ入ることになった主人公が、「失せ物」を夢に見る能力を手がかりに数々の問題を解決していく物語。独自性のある能力設定と繊細な心情描写が物語に深みを与えており、魅力的なタイトルも合わせて完成度の高い作品だった。
「鳥籠の華は皇后選定を乗り切りたいっ! ──呪われた皇帝を救いましょう──」は、特別な異能を持つ主人公が、皇后選定を回避して後宮からの脱出を目指す作品。異能という設定の面白さに加え、四人の妃や式神との関係性がしっかりと描かれており、人物同士の駆け引きの面白さが際立っていた。
「紅玉楽師は後宮の音を聞く 〜生き残りたい私の脱走計画〜」は、かつて後宮を追放された妃の娘である主人公と、とある目的を抱えた美形の文官が後宮の陰謀に挑む作品。楽師としての鋭い聴覚を活かした主人公の活躍と、徐々に明らかになっていく過去を、見事な筆致で表現していた。
「呪われ作家と、小さなワケあり霊能者」は、小説家として暮らす主人公と見た目が少年の霊能者が霊能トラブルを解決するミステリー作品。印象的なキャラクター設定に加え、起承転結が丁寧に組み立てられており、安定した構成力が感じられる一作だった。
行き遅れた私は、今日も幼なじみの皇帝を足蹴にする
あやかし帝都の婚姻譚 〜浄癒の花嫁が祓魔の軍人に溺愛されるまで〜
あやかしの跋扈する架空の大正時代という練り上げられた世界観に引き込まれました。また、異能のため家族に虐げられていた幸の薄い桜子が、あやかしを討伐する任を負う礼人に愛されて次第に距離を縮めていく様子も素敵です。
身代わり妃は後宮で失せ物の夢を見る
失せ物の在処を夢で知ることができるヒロインという設定が後宮ものと非常に相性が良く、また、いつ正体が露見するとも知れない緊張感や自分自身として振る舞えない切なさが巧みに描かれていて、ヒロインの心情に共感できました。
【完結】鳥籠の華は皇后選定を乗り切りたいっ! ──呪われた皇帝を救いましょう──
後宮から出ることを一番の目的に後宮入りしたヒロインが、初恋の皇帝の呪いを解くために奔走するというストーリー展開が巧みで、世界観を堪能することができました。ライバルの妃や式神たちも個性豊かで大変魅力的です。
紅玉楽師は後宮の音を聞く 〜生き残りたい私の脱走計画〜
先帝の血を引き、”優れた耳”を持つ主人公が、その能力を活かして後宮内の難事件に立ち向かっていく様に引き込まれました。また、後宮での騒動を通して彼女が自らの出自と向き合い、傷つきつつも成長していく描写も見事です。
【完結】呪われ作家と、小さなワケあり霊能者
影のある作家・律と、あざとくも頼もしい少年・天緒。魅力的にキャラ立ちしたコンビに一瞬で心を掴まれました。律の過去に二重三重のフックがあり、謎が明かされるにつれてどんどん引き込まれます。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
奨励賞
投票ユーザ当選者
- みっふぃー さん
- rujin さん
- ざる さん
- 翡翠 さん
- bbb2023@sweet さん
- 狂言巡 さん
- ゼリオニック さん
- eitan さん
- nefertiti さん
- 桜桃-サクランボ- さん
有能な神仙術士の主人公・凛風が活き活きとしていて、幼馴染の皇帝との掛け合いのテンポが良く、冒頭から一気に物語に引き込まれました。主人公を取り巻くキャラクターもそれぞれに個性があり、陰謀渦巻く後宮で繰り広げられる恋模様や謎解きとのバランスも絶妙でした。今後の展開も大変楽しみです。