霧のあとさき 川中島の根無し草

甲斐の虎こと、武田信玄の鬼軍師として名高き山本勘助。

だが、彼には五十代に至るまで使えるべき主君を持てず、今で言えばフリーターの立場で流離い続けたはぐれ者、という一面がある。

やっと心服できる主に出会い、その弟・武田信繫の信頼を得た後、六十九才の高齢で迎えた晴れ舞台・川中島の合戦。

劣勢を立直すべく、深い霧に覆われた戦場へ向う寸前、勘助は一つの言葉を言い残した。

「時の巡りを味方にして参る」

それは、はぐれ者だったからこそ分る信玄、信繁の密かな孤独へ共感し、生涯最後の力を捧げんとする誓いの現れだったが……

激闘の末、朦朧とする意識の中で霧の奥へ見出す最後の敵とは、果たして誰であったのだろうか?

           ☆

アルファポリスの他、小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+でも掲載しています。
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