オリュンポスの秘宝をチェックメイトしようとしたら、古代ギリシャの魔物がやってきた
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全十層、いまだ誰も最下層に到達していないダンジョンRPG『オリュンポス』。
九条悠真は幼なじみの部屋で第九層の青銅の牛を倒し、名前も説明文もない
白い駒を拾う。直後、画面の中に大人の女が現れた。幼なじみによく似た顔で、
こう言った。──たすけて。おねがい、むかえにきて。
最下層へ向かった悠真はあっけなく殺される。流れたゲームオーバーのムービーは、
彗星が神殿都市を灰にする光景だった。そんな映像は、攻略サイトのどこにもない。
そこへ対局を終えた星名アリア(女流二段)が帰宅する。
画面を見た彼女は、青ざめて言った。「わたし、ここ、知ってる」
外が騒がしくなり、時間の止まった街に、さっき悠真を殺した魔物が降りてきた。
気づけば二人は、白い柱の並ぶ神殿に倒れていた。ゲームで見たあの街だ。
空には、あの白い筋が走っている。
神殿の布に映るのは、縛られた女神のシルエット。
傍らの迷宮の入口には、読めない文字の羊の皮と、金の冠が置かれていた。
冠をかぶったアリアは目を閉じ、女神の声で告げる。
秘宝は十の欠片に砕かれ、迷宮十層の番人の腹にある。
殺すな、詰ませよ。詰ませた者は、味方になる。
駒を持てるのは日の側から来た者。駒を振るえるのは、我が血を継ぐ娘。
街が灰になるまで、三十七日。
持てるのは俺だけで、振るえるのはこいつだけ。
将棋を三日で辞めた男と、盤の前でだけ別人になる美少女棋士。
二人でひとつの駒を回しながら、迷宮を降りていく。
――そして最後の一局は、逃げ場のない現代の国立競技場で指される。
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