星空のボレロ

 この物語の始まりは七年前にまで遡る。



 健(たける)と、七海(ななみ)と、白石(しらいし)ちゃん。



 この多面的な現実の世界で僕らはそれぞれ違う場所で生まれ、互いに引き合うようにつながり、そして再び離れてゆく。



 この物語は我々四人(僕と、親愛なる三人の男女)のつながりを描いた物語であるーーーーー。







 人が消えて数ヶ月経つ終末の世界に生きる「ぼく」と、201号室に暮らす「僕」。パラレルに描かれる彼らの世界は徐々に近づき、やがてひとつに重なり合う。







 ふたつの世界を繋ぐキーワードは、モーリス・ラヴェルの名曲『ボレロ』。







「星が綺麗だね。星空か…。



 ね、『誰もがいつかは行くところ』ってよく言うけどさ、七海ちゃんはあそこにいるのかな。



 あたしたちに認識できるのは彼女の不在であって、行き先ではないよね。



 だからあたしたちは、彼女のことをこの小さな脳みそにとどめながら、この心で想いながら、からだと心をつなぐ部分でバランスをとりながら、生きていくしかないのだよね。



 それにはリズムが大事なのよ。音楽をかけることが大事なの。あたしたちの場合それは四人とも『ボレロ』だった。音楽は一度止んだから、またかけ直さなくちゃ。静かな時間も必要だけど、それだけじゃだめ。死ぬまで繰り返すの。この世界で最後の一人になったなって思っても、繰り返すの。



 いい? 大丈夫だからね。
 あたしたちはちゃんと、つながっているから。



 星空の下にいても、ちゃんとつながっているんだよ」








 人と人とをつなぐ。あなたにとっての、大切な音楽とはなんですか。







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