経済・企業 お仕事小説 小説一覧

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1

7億円で、潰れかけのクラブを買いました ~数字しか見えない俺は、誰も数えない選手を集める~

「地方の道楽だろ」と笑った連中が、名刺を持って戻ってくる。 「地方の道楽ですよね」 そう言って金を出さずに帰った人間が、何人もいた。 観客一五〇〇人、空席は七割。斜陽の港町の弱小バスケクラブ〈潮見ブルーホエールズ〉は、来季の開幕を待たずに消えかけていた。宝くじで七億円を当てた要実(かなめみのる)は、その金でこのクラブを買い取る。だが金で買えたのは、たった一年の猶予だけ。 派手なスター補強も、魔法もない。武器はひとつ――誰も値段をつけていない価値を見抜く目。戦力外寸前の選手、点を取らないセンター、焼き鳥の屋台、誰も読まなかった地元紙。安く見積もられていたものを、一つずつ数え直していく。 やがて、あの人間たちが、名刺を持って戻ってくる。 数字しか見えない男が、誰も数えなかったものだけで、町ごと黒字にしていく話。
2

カッペは遂に大都市東京を走る?

バイクのエンジン音だけが、都会の喧騒から俺を切り離してくれる。 怒りの矛先を見失ったまま走り続けた夜、 俺は気づいてしまった。 追いかけてくるのはパトカーでも、過去の失敗でもない。 “救えなかった誰か”の影だった。 あの娘を守りたかった。 居場所を作ってやれると思っていた。 今度こそは! けれど、俺は最後まで救えなかった。 都会の光は眩しいのに、心の奥だけは暗いまま。 選ばなかった未来ほど鮮明に思い出せるのは、どうしてだろう。 バイクを降りれば現実が追いついてくる。 家の明かりを守りたい気持ちと、 故郷へ帰りたい衝動のあいだで揺れながら、 俺は今日も走り続ける。 これは、“怒り”の物語じゃない。 救えなかった誰かを抱えたまま、それでも前へ進もうとする男の物語だ。
3

ブラックタグ・ジャパン

国際再保険市場が、日本に「黒」のタグを付けた。 制裁国でも、紛争地でもない。地殻と気候のデータが、「ここは、もう持てない」と告げただけだった。 損害保険は、事業も、車も、家も、「やってみよう」と言える下地だった。それが引き受けられなくなった国で、保険料は上がり、免責は増え、人は車を使わなくなり、会社は挑戦をやめ、町は静かに空になっていく。 誰も、何も禁止していない。誰も、悪者ではない。 大手損保のリスクコンサルタント・鳴海恭平は、その「黒」を社内で先に作った男だった。感情を排して、数字だけで人を選別する仕組み。それが、いま、国全体に使われている。 保険がなくなったとき、世界は何を失うのか。 線を引いた人間は、もう一度、線を引き直せるのか。 災害の起きない、静かなディストピア。
4

「夢を追うカッペ、都会のコンビニで夢へと動き始める。」

夢を追って田舎から上京した青年。しかし現実は厳しく、就職先では事故に遭い、 夢の入口にすら立てないまま深夜のコンビニで働く日々が続く。 中古のオートバイを探してバイクショップを巡っていた或るバイト明けの朝。 ふと立ち寄ったライバル店の駐車場で、紅い軽自動車が故障して動けずにいた。 その車に刻まれた“ある愛称”は、奇しくも彼の呼び名と同じ名を持っていた。 ただの偶然のはずだった。 けれど、その出会いが止まっていた彼の時間を静かに動かし始める。
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