民俗ホラー 小説一覧

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九州の地下に眠る海

九州の地下に眠る海
熊本県阿蘇郡、地図にも載らない小さな集落「灰塚」。 そこには古い言葉が残っている。 「夜ん谷には行きなはんな」――。 東京で映像編集者として暮らす椎葉蓮は、祖父の訃報を受けて 十数年ぶりに故郷へ戻る。無口だった祖父が、死の間際に遺し たのはたった一言。 「戸ば、開けるな」 帰郷の前夜から、蓮は同じ夢を見続けていた。光の届かぬ深海 の底で、見上げる先にある巨大な「何か」。寝返りを打つたび に海ごと震わせる、山ほどもある存在――。 阿蘇カルデラは、九万年前の巨大噴火で生まれた世界最大級の 窪地である。だが祖父の蔵に伝わる写本『火國秘聞』は、それ より遥かに古い時代を語る。曰く、この地はかつて海だった。 そして今も――山の下に、海はある。 肥後の地、神々が生まれ降り立つ五つの場所。阿蘇、人吉、八 代、天草、荒尾。それぞれの土地に「戸」があり、それを守る 「戸守り」の家がある。椎葉、岩戸、矢部、深江、三池。彼ら は代々、地下に眠るものを目覚めさせぬよう、血と祈りによっ て契約を繋いできた。 だが今、契約は緩み始めている。 阿蘇の噴煙のなかに、東京の路面に滲む潮の匂いに、観光プロ モーション映像の一コマに、それは確かに、姿を見せ始めている。 H・P・ラヴクラフトのコズミックホラーを、肥後の風土に深く 根ざして描く連作怪奇短篇集。
SF 連載中 長編
感想数 0 文字数 64,728 最終更新日 2026.07.06 登録日 2026.05.28
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怪談を語ってはいけない ―フリーライターが触れた禁忌の共有フォルダ―

「この共有フォルダは、本人不在のまま更新され続けている」  フリーライターの私が引き継いだのは、行方不明になった前任者が遺した不気味な取材データだった。  江ノ島、小松が池、瑞甕神社。  パワースポットの裏側に隠された「所有権」と「血の歴史」。  記録を読み進めるほどに、あなたの日常もまた、何かに侵食されていく――。 【記録に関する注釈】  本作は、『【完結】本当にあった怖い話 ~実話怪談集『図書館の“あれ”』・『旅先の怪』・『負のパワースポット』~』に収録の『負のパワースポット』の元となった取材記録を、フリーライター紗耶の視点から大幅に加筆・再構成した【完全版】です。  取材の過程で前任者Nが遺した「共有フォルダ」の謎や、瑞甕神社に隠された禁忌の真実を詳細に記録しています。実話の断片が、一つの「呪いの形」を成していく過程を、ぜひ目撃してください。    また、本記録は複数の媒体にて公開・検証を行っておりますが、本稿(アルファポリス版)は、最新の調査結果と未公開データを反映させた「最終改稿版」となります。  記録の拡散(閲覧)は、読者ご自身の責任において行ってください。
ホラー 連載中 長編
感想数 0 文字数 9,251 最終更新日 2026.03.02 登録日 2026.02.28
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夢写師ルカと黒い狐の廃墟録 ―光と影の記憶譚―

夢写師ルカと黒い狐の廃墟録 ―光と影の記憶譚―
過去を写す力を持つ「夢写師」のルカは、霧梁県の山間の町・久遠木村にある写真館を営んでいる。ある日、黒い狐の面を被った青年・クロが現れ、「お前の写真の中に神の欠片がある」と告げる。実は7年前、ルカの姉・チヨは暴走した狐神を封じるため自らの体を器とし、神の力は9つの欠片となって散った。封印の代償として姉の存在は人々の記憶から消えつつあった。クロと共に神の欠片を求めて朽ちた温泉宿、沈んだ遊園地などの廃墟を巡るルカ。しかし欠片を使うたび大切な記憶が失われ、写真館の地下にある「現像室」で待ち受ける最終選択——姉の命か、姉の記憶か。忘却と記憶の狭間で、ルカは何を写し取るのか。
ファンタジー 連載中 長編
感想数 0 文字数 4,317 最終更新日 2025.08.30 登録日 2025.06.25
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