ラスト・アニバーサリー
平凡な公認会計士である「私」は、山奥にある不釣り合いな高級別荘で、ある朝、目を覚ました。
起こしてくれたのは「妻」だ。
三十代後半で未だ若々しい「妻」、その優しい笑顔に癒され、体を起こして部屋のカーテンを開くと眩い日差しが差し込んで来る。
美しく、平和な朝だ。
幸せを感じて良い筈なのに、奇妙な不安が胸を過る。何故か、ここへ来た経緯、ここ数日間の記憶が全く残っていない。
しばらく前の出来事なら覚えているのに、何故、最近の事だけ判らないのだろう?
「私」も「妻」も携帯電話を持っておらず、家の中にはテレビが無い。だから、外の情報は一切入らない。
唯一の情報源、居間に置かれたタブレット端末だけは問題なく起動し、少々胡散臭い「妻」の弟が画面へ現れて、「私」の質問へ答える代りに言った。
「姉さん、夫婦水入らずで楽しく過ごして欲しい。できれば、この世の終わりまで……」
エブリスタ、小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しております。
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三十代後半で未だ若々しい「妻」、その優しい笑顔に癒され、体を起こして部屋のカーテンを開くと眩い日差しが差し込んで来る。
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