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時計は刻み、エアコンは唸り、コーヒーはまだ温い。窓の外は真っ暗で、廊下はどこまでも続いている。六つの机が整然と並び、すべての物が定位置に収まっている。
あまりに綺麗すぎる。人間が残した跡とは思えないほどに。
君はこれを夢だと思う。
しかし、ノートの日付がひとりでに跳ね始め、引き裂かれたページには、自分が書いた覚えのない文章が残っている。
やがて床に円形の領域が現れ、その縁から低いうなり声が染み出し、やがてひとつの言葉を形作る。
そして気づく。自分はここに、もうずっといるのだと。自分の記憶よりも、もっと長く。
――目覚めと睡眠の境界が曖昧になったとき、恐怖はようやく始まる。
本作は『DFrontier-夢遊辺境』のスピンオフ作品です。原作との関連はありますが、その繋がりは複雑に入り組んでいます。
文字数 12,098
最終更新日 2026.07.12
登録日 2026.07.12
夢は、どれも奇妙だ。まるで別の世界から来たかのように。
だけど、それらはきっと、平凡で単調な日常によって形作られている。まるで、人間の生活に欠かせない一部のように。
少なくとも、科学はそう言う。
でも、君はそう思うか?
「少なくとも、俺は違うけどな。」
絶対的な【明晰夢】の能力を持つ狭間・真夢は、奇妙な人間だ。自ら精神疾患を抱えながら、精神科医でもある。彼は幼い頃から夢に悩まされ続けてきた。夢の内容をはっきりと覚えている。だからこそ、彼は夢の世界へと足を踏み入れた。
曖昧な漂遊感。断片的な夢の記憶が、次第に現実と接続していく。
君は誰だ? 俺は誰だ……俺は誰なんだ。
真夢は問いを投げかけ続ける。その答えを得られるのは、彼が夢の深淵に潜り、その奔流に身を委ねたときだけだ。
科学では記録できないことが、次第に現れ始める。科学では証明できない事実が、夢の世界で少しずつ浮かび上がっていく。
夢が夢でなくなるとき、現実が崩れ始めるとき、どれだけの人間がこの「夢遊の果て」を彷徨い続けるのだろう。
これは、「正気のまま狂う」物語だ。
――そして、君は永遠に知らない。今この瞬間が、夢の中なのか、それとも目覚めた後の現実なのかを。
本作は「小説家になろう」でも連載中ですhttps://ncode.syosetu.com/n3458mj/
文字数 136,167
最終更新日 2026.07.12
登録日 2026.07.12
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