離別から始まるシェフと勇者の物語【旧:異世界転移してきた勇者にパーティを追放されたのでシェフになります】

 剣と魔法、そして魔物が存在する世界【グレイセリア】。
 この世界は数百年のサイクルを経て魔王が降臨し、それに合わせて勇者が誕生するとされていた。
 本来なら勇者はグレイセリアの住人より選出される筈だったが、今回の魔王降臨に際しては異例の事態が起こった。
 女神が現れ、やがて降臨した勇者はグレイセリアとは異なる世界、日本より召喚された【柳条(りゅうじょう)楓矢(ふうや)】という青年だった。
 楓矢は女神より聖剣と勇者の称号を得ると共に、この世界の基盤ともなるスキル(各職業のランク)を限界まで強化できる恩恵を与えられた。

 そんな勇者降臨を目撃していたオルクスとミリア。二人は冒険者としてパーティを組んでいたが、オルクスは何の努力も無しに力を与えられた勇者を快く思っていなかった。
 後に楓矢はオルクス達が滞在するギルドで世話になるのだが、共に魔王討伐のパーティを組む話になった際、オルクスは楓矢に対して提案を持ち掛けたのだ。
その提案とは、パーティを組むなら俺を倒せたいうものだった。
 血の滲む様な修行と依頼をこなして手に入れたSランクの地位。それを一瞬で超える勇者という存在が許せなかった。
 己の誇りを賭して挑んだ戦い。しかし結果はオルクスの惨敗に終わり、魂とも言える愛剣を折られ敗北する事となる。
 敗北したオルクスはミリアと共に楓矢のパーティに加わる事を承諾したが、楓矢は突然オルクスが気に入らないからとパーティから外すと宣言した。
 再びぶつかる二人だが、剣とプライドを折られたオルクスはミリアを託してパーティを外れる事を承諾する。
全てを失ったオルクスはこれまでの半生を振り返り、冒険者以外で自分のやりたかったものを考える。
 育った孤児院跡に立ち寄り、子供の頃の微かな記憶に残っていたものはシスターや家族の皆を笑顔にする事だった。
 そんな中、突如として現れた女神はオルクスにとあるスキルを与えた。それは【創者(そうじゃ)】と呼ばれ、あらゆるものを創造する力を持つとの事。
 ギルドに帰ったオルクスはマスターであるウォルフが出した料理を口にし、料理が人を笑顔に出来ると確信した。こうしてオルクスは【創者】という新たな能力を元に料理人となる。
 そして同時に楓矢も勇者としてゼロから旅立つ選択をした。聖剣以外の恩恵を全て返納し数々の人と出会い成長する。
 彼らの行く末はとはーー
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