虚無式サマーバニラスカイ

夏休み、高校二年生の蟹原刹は駅近くにあるビルの最上階を借り切り、恋人との二人だけの空間――〈愛の巣〉をつくり上げていた。しかしその生活は、二人が公衆トイレにて偶然に、火津路町を騒がせている〈連続脳姦殺人〉犯行の現場に居合わせ、犯人を目撃してしまったことで崩壊を始める。事件に関心を抱いた蟹原は犯人との再会を目指して行動するが、町にやって来ていた自称名探偵・海老川蝶子に目を付けられると、事件への関与を疑われると共に探偵としての才能を見込まれ、半ば強引に彼女の弟子にされてしまった。火津路町では現在〈連続首切り殺人〉なるものも同時進行しており、海老川曰く、すべては繋がっているらしい……。
これは夜の夢か、それともうつし世か。本格ミステリ式犯罪が支配する新世界。栄誉ある消費。アウフヘーベン。恐るべき虚無の結末〈バニラスカイ〉へと向かって、蟹原刹が足掻き、這いずり回った、ひと夏の思い出話。どうか聞いてくれ。そして憶えていてくれ、君だけは。
(小説家になろう、エブリスタにも掲載中)
24h.ポイント 0pt
0
小説 184,240 位 / 184,240件 ミステリー 4,150 位 / 4,150件