それでもお前を愛と呼びたい
世界で、まだ俺しか知らない、いちばん、うつくしい蝶の、幼虫。
全寮制の中高一貫男子校に通う朝見唯希は、寝食をおろそかにして絵にのめりこむ同級生、中山終一に夜食を運ぶのを日課にしている。生きるのが下手くそで、不器用で、かわいそうな終一を、守って、甘やかして、愛して。いつか彼が、うつくしい羽を広げるところを見るのが、唯希の夢だった。入学から数えて六度目の夏、最後の『学内コンテスト』が近づく。絵の神様に愛された天才、森純太と競う最後の機会に、じわじわと追い詰められていく終一。その横顔を見つめながら、唯希は言えない恋慕を募らせていた。一方で終一も、太陽のように朗らかな唯希の心を欲しがりながらも、好きだとは言えないままだった。
笑っていて。
幸せでいて。
でも、俺から離れないで。
まだ、寂しがるには早いけど『来年』がないことを意識せずにはいられない初夏の空の下、不器用で、言葉足らずで、臆病なふたりは、互いの手を取りあえるのか――――。
隠れ甘え上手な執着と独占欲の塊×甘え下手なお兄ちゃん気質の寂しがり屋の、最後にしたくない初夏が始まる。
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