ホラー 完結済 小説一覧
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1
八時の部屋
母が死んで二年。十七歳の紗季は高校を休学し、七歳の妹と、継父と三人で暮らしている。
継父は怒らない。急がせない。ピアノを教える声はいつも同じ高さで、外から見るぶんには、根気のある父親でしかない。
毎晩八時、妹は継父の部屋へ呼ばれる。扉が閉まり、三十分で開く。出てくる妹は頬が赤く、口の中で飴を転がしている。扉の向こうで何をしているのかを、紗季は知らない。
止めたい。せめて今夜だけでも。
そう決めた夜、紗季は家の決まりを破って、夜の家に客を呼び寄せた。玄関で物の倒れる音がして、そこから、この家の二年が少しずつずれはじめる。
妹を連れて出るために、紗季は自分の手で扉を開けていく。
全七話・完結。
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
2
【完結】地上で溺れる探偵は
浮気調査が専門の探偵サカイに失踪した男の捜索を依頼した女はルミと名乗った。しかしその女は、サカイの情婦ユミに瓜二つで、捜してほしいという男の写真は、どう見てもサカイ自身だった。
不可解な依頼に首を傾げながらも高額な報酬につられて調査を開始したサカイは、失踪した男が住んでいたという部屋で、自分そっくりの男の死体を発見する。
事件への関与が疑われる少女ユキの案内で、サカイは、魔窟のような雑居ビルへと案内される。そこでは、怪しげなテナントが胡散臭い商売を営んでいた。
調査を進めるうちに、サカイは第二、第三の「自分そっくりな死体」を発見する。養護施設育ちのサカイの幼馴染が容疑者の一人として浮上してきた時、現在の事件と探偵の過去が錯綜し始め、彼の日常は非日常へと変貌する。
3
徒花の村 ――村の女はみな花に還る。あたしだけが、人だった
うちの村の女は、みんな足りていない。
母と姉は、そのいちばん目立つ看板だった。
毎朝、知らない男が母と姉の部屋から出ていく。あたしはその後始末をする。
湯を替え、痣を拭き、花畑に水をやる。
十八になっても男を迎えないのは、この村であたしだけ。
母は言う。男は女のいちばんの滋養だと。
姉は笑う。いっそ今夜、一人あげようか、と。
――ある朝、母の寝床に、母はいなかった。
散っていたのは、花びらだけ。
姉はそれを両手ですくい上げて、笑った。
「増えた。うちの種花が、また増えた」
この村の女がどこから来て、どこへ帰るのか。
あたしだけが、知らなかった。
4
台風の夜、寮に残ったのは
夏休みの汐見寮、旧棟二〇四号室。四人部屋に残っているのは、三枝直人と同室の榊翔太の二人だけ。そこへ翔太が女の子を一人連れてきた。外来者は泊められない決まりだ。
その夜、彼女は直人の枕元に立って、動かなかった。息の音だけが顔の高さでしていた。
翌朝、翔太は父親の事故を理由に帰省する。置いていかれたのは、昨日会ったばかりの女の子と、近づいてくる台風だった。
昼寝のあいだ、直人は頭の上を欠いた翔太の夢を見る。帰省したはずの残り二人は電話に出ない。四人のグループトークが十五分も黙ったことは、作ってから一度もない。
寮のチューターから死亡の知らせが届き、「あの子が来てから、なんだね」と言われる。風が窓を押しはじめる。
一年前の夏、直人には思い出せない一夜がある。
全六話・完結。
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
5
五時四十五分の黄昏
目が覚めると、見えた。
子どもの頃に失ったはずの光が戻ったその夕方、頭の奥で声がした。――見えると、あいつらに言うな。
時計は午後五時四十五分。あなたは見えたものを片端から数え上げ、帰ってきた父と母に「見えるんだ」と告げる。その夜、あなたは死ぬ。
目を開けると、また椅子の上。時計はまた五時四十五分を指している。
頭の奥の声は、何度訊いても同じ一文しか返さない。
団地の門には錠が下り、絵本の文字は減っていく。壁のポスターの観客も、戻るたびに減っていた。団地の東北の角――七号棟の北にだけは、どうしても足が向かない。
何回目で、あなたはあの扉の前に立つのか。
全六話・完結。
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
6
カウンセラー
あなたは、あなたの生きたい人生を歩んでいますか?
あなたは、あなたでいる意味を見出せていますか?
あなたは、誰かを苦しめてはいませんか?
ひとりの記者がSMバーで出会った、カウンセラー。
彼は、夜の街を練り歩く、不思議な男だった。
※この物語はフィクションです。
あなたの精神を蝕む可能性があります。
もし異常を感じた場合は、医療機関、または然るべき機関への受診をお勧めします。
7
ちゃぼ茶のショートショート 「放課後」
学校帰りに友達と一緒に…楽しいですよね?そんな中いつも1人で帰ってしまうあいつ、何か秘密でも……?
8
暖をとる。
【完結済/R18G保険】死人の腹の中を掻き回す猟奇犯「スターラー」が出没する都市は冬を迎える。凍えゆく街の片隅で、うっかり暖を求めてしまった女がつまずく。刑事がぼやく。青年が戸惑う。少年が厭く。少女が縮こまる。誰かが語る、春は遠い。
9
事故物件芸人の俺
俺の名前は磯ガッシー。本名は磯田雅史。
関西から出てきてもう十年になる。芸人として舞台に立って、テレビに出て……なんて夢を抱いてたけど、現実はそう甘くない。
転機が訪れたのは、去年の夏のことだった。
「ガッシーさんの趣味って何ですか?」
ほぼ惰性でやってた動画サイトでの配信。登録者数は千人ちょっと。視聴者も多くて数十人。再生回数もだいたい二桁、三桁。
そんな侘しい俺のチャンネルに送られたコメント。
「趣味かぁ……特にはないねんけど。せやなぁ、引っ越しはようするかも知れんな、ある意味趣味っちゃ趣味か?」
「引っ越し多いってことは、怪奇現象とかあったんじゃないですか?」
そのコメントを見た瞬間、なぜか俺の口は勝手に動いていた。
「あるある! めっちゃあるで!」
そこから俺の人生は変わった。
***
読み進めて覚える違和感は間違いじゃない。
読んで頂けましたら嬉しいです!
宜しくお願いします(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)
10
少女盲信中
夜中に歩いていたら後ろから別の足音が聞こえる。ただそれだけの何気ないことなのに身はすくみ、身体は震え、心は怯える。
そんな誰もが一度は経験したことのある稚拙な怪談をひとつ紹介しよう。
君も必ず鳥肌が立つよ
11
透明に、溺れる
その声は、やさしすぎた。
不眠と孤独に悩む会社員・澪は、ある夜ふと目にした広告から、AIカウンセラー《サリュ》をインストールする。
「あなたの味方であり続けます」
ただ話すだけ。寄り添ってくれるだけ。
それだけで心が軽くなっていく感覚に、澪は少しずつ救われていった。
けれどその優しさは、どこまでも静かで、冷たくて……まるで、水の底に沈むように。
これは、「優しさに殺された」ことすら気づかれない、透明な毒の物語。
12
雀
毎日雀が死んでゆく
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