「次」の検索結果
全体で16,696件見つかりました。
室町幕府三代将軍足利義満は観阿弥の勧進猿楽で鬼夜叉と出会う。美貌と天賦の才に惹かれた義満は、観阿弥の思惑通り鬼夜叉に新しい芸能を大成させることを約束する代わりに、観阿弥にある条件をのませた。
義満は南北朝合一、守護大名の衰退を画策し、花の御所に幕府を構え、朝廷にまでその権勢を伸ばす。
一方、鬼夜叉は二条良基の薫陶を受けて教養知識を身に付け、ライバルとなる増阿弥と競い、観阿弥の友犬王の導きを得て、能楽の大成に向け邁進する。
義満の策謀によって衰退した南朝再興を目指す葉室次郎は、有力守護大名大内義弘と手を組み鎌倉公方を巻き込んで、義満に敵対し命を狙う。
守護大名の力を削ぎ、金閣を造成し、朝廷にまで権勢を伸ばし日本の頂点に立とうとする義満。その義満の野望を阻もうとする葉室次郎の願いは届くのか。鬼夜叉は果たして能楽を大成出来るのか。
世阿弥の前半生を描く。
文字数 86,205
最終更新日 2024.05.27
登録日 2024.05.01
籤(くじ)引きで第五代将軍となった足利義教の恐怖政治が続く。日本初の土民蜂起と言われる「正長の土一揆」が起こるなど社会不安が広がる中、猿楽能の大成を目差す世阿弥にも大きな波が押し寄せる。
将軍義教の贔屓する世阿弥の甥元重に奥義を伝授し観世大夫とするよう強要されるが、これを断ったため御所への出入り・演能は禁じられ、長男元雅は楽職を罷免される。
元雅は葉室次郎を頼り大和越智へ。天河弁財天に能を奉納祈願し「越智観世」として活躍の場を広げようとする。一方、世阿弥自身は佐渡に配流されてしまうが、世阿弥を支えたのは猿楽能だった。
「万人恐怖」の政治を行う将軍義教に逆らう守護大名、大和越智一族、比叡山延暦寺、鎌倉公方の戦いの決着は? 世阿弥、元雅、元重の運命は? 都に現れた女猿楽とは? 混迷の渦に巻き込まれながら、果たして猿楽能の大成は成るのか?
世阿弥の後半生を描く。
文字数 89,685
最終更新日 2024.06.25
登録日 2024.06.01
世に云う悪女。
私は悪女が好きだ。
悪女は男を惹きつける魅力がある。
例えば藤原薬子である。薬子は不倫の恋の典型的な女であった。こともあろうに自分の娘の夫つまり婿である帝と男女の関係を持ち離れられない仲になったのであった。
そして薬子はその地位を利用し帝を操り日本の政治を欲しいままにしたのである。
何故そのようなことが出来たのか。
実は薬子は東宮の宣旨(せんじ)という帝の取次の女官に任じられたからである。
その為四六時中太子の寝所に出入りする身になったのだ。
抑々(そもそも)薬子が桓武帝の東宮安殿親王の御殿へ上がったのは、妃の一人として入内する長女の付き添い役としてだった。
延暦二十年前後のこととされるから、薬子は二六、七歳、娘は十二、三歳だったろうか。
安殿親王とほぼ同年と思われる。
そのころ太子は既に幾人もの妃を納(い)れており、皇子も生まれていた。ところが、娘を伴って宮中に入った薬子を一眼見るなり、その虜になってしまったのだ。
さて、今回、主人公にしたお龍は、幕末の新撰組総長•近藤勇までが惚れた色っぽさがあった。
お竜はその色香で坂本龍馬を骨抜きにしたのであった。
この小説は史実に基づくノンフィクションの物語です。
昨今の女性たちにエールを送りたく、また、男性には『お竜のような女性もいるのだよ』と、いうことを知って頂きたい。
男女の恋愛とは何なのか。
女性の魅力とは何なのか。
あらためて、自分自身の男女関係の恋、また、女性の魅力とは、何なのか、について考えて欲しい。
この小説が読者の皆様のお役に立てれば幸いです。
文字数 31,051
最終更新日 2026.05.08
登録日 2026.05.08
突然の火事で故郷である里山を失った鳥天狗の少年は、零と名乗る人鬼に拾われ「睦樹」という名を与えられる。名前も火事の時の記憶もない少年は零の住処『隠れ家』に身を置くことに。そこは行き場のない訳あり妖怪たちの住む場所。一風変わった萬事処『あやし亭』でもあった。妖狐の一葉、猫又の双実、化狸の参太、人魚の五浦、死ねない人の志念、正体不明の紫苑。一癖も二癖もある『あやし亭』の妖達と火事の真相と自分の記憶を解明すべく動き出す。どうやらこの件には、火事に遭った里山と隣接する芽吹村を再建すると名乗り出た札差・近江屋佐平次が関わっているようで―――。妖怪と人が交わる江戸、人の世で生きる妖が事件を解き明かす怪奇譚。
文字数 109,936
最終更新日 2024.08.31
登録日 2024.08.23
🟥表紙は、「うろこ道」さん作成。感謝です☺︎😊
https://estar.jp/users/89325607
■剣の腕前は可もなく不可もなく。十歳から仕官を求めて廻国の旅へ。十年経ってもまだ浪人のまま。その日暮しの男神(おがみ)真之介は、なんでもやる。どぶさらいから留守番、荷車の護衛、豪農豪商の用心棒……
■しかも妙齢の女人に触られたり近寄られたりするだけで、首や背中が赤く腫れあがり痒くなる……という奇病持ちの真之介に、次から次へと美しい女人の影が……
🟨そして、突如として真之介にまつわる騒動が勃発。現れたのは、真之介の許嫁を主張する女。父は旗本、幕領の代官。その真偽は……?
同じくして真之介はある藩の殿様の御落胤だという噂も流れて……!?
さらに真之介のいのちを狙う幕閣の老中の手先、同時に真之介を護ろうしているのは別の老中? 一体、幕閣の中でなにが起ころうとしているのか!?
◇連作集です。各章読み切り的構成になっておりますが、テーマは連続します。また前章の事件や登場人物が次章の事件へつながるなどの工夫もあります。
男神真之介が活躍する物語をお楽しみくださいませ。
『神様のはかりごと』
『譲りの善右衛門』
『感謝の対価』
『悲願花』
『噂の深層』
『いざ参ろう京の都へ』
※登場人物等は、物語の進行にともない加筆修正します。
※あらすじも追加する予定です。
文字数 65,097
最終更新日 2026.06.08
登録日 2025.05.24
【あらすじ】
南北朝時代、南朝の宰相、そして軍師ともいうべき、准后(じゅごう)・北畠親房、死す。
その兇報と共に、親房の臨終の言葉として、まことしやかに「その一言」が伝わってきた。
「年明けこそ鬼笑う」――と。
親房の最期の言葉は何を意味するのか――
楠木正成、新田義貞、高師直、足利直義といった英傑たちが死し、時代は次世代へと向かう最中、ひとり生き残った足利尊氏は、北畠親房の最期の機略に、どう対するのか。
【登場人物】
北畠親房:南朝の宰相にして軍師。故人。
足利尊氏:北朝の征夷大将軍、足利幕府初代将軍。
足利義詮:尊氏の三男、北朝・足利幕府二代将軍。長兄夭折、次兄が庶子のため、嫡子となる。
足利基氏:尊氏の四男、北朝・初代関東公方。通称・鎌倉公方だが、防衛のため入間川に陣を構える。
足利直冬:尊氏の次男。庶子のため、尊氏の弟・直義の養子となる。南朝に与し、京へ攻め入る。
楠木正儀:楠木正成の三男、南朝の軍事指導者。直冬に連動して、京へ攻め入る。
【表紙画像】
「きまぐれアフター」様より
文字数 10,769
最終更新日 2024.06.05
登録日 2024.05.31
【あらすじ】
(朝(あした)の信濃に、雷(いかづち)、走る。 ~弘治三年、三度目の川中島にて~)
弘治三年(1557年)、信濃(長野県)と越後(新潟県)の国境――信越国境にて、甲斐の武田晴信(信玄)と、越後の長尾景虎(上杉謙信)の間で、第三次川中島の戦いが勃発した。
先年、北条家と今川家の間で甲相駿三国同盟を結んだ晴信は、北信濃に侵攻し、越後の長尾景虎の味方である高梨政頼の居城・飯山城を攻撃した。また事前に、周辺の豪族である高井郡計見城主・市河藤若を調略し、味方につけていた。
これに対して、景虎は反撃に出て、北信濃どころか、さらに晴信の領土内へと南下する。
そして――景虎は一転して、飯山城の高梨政頼を助けるため、計見城への攻撃を開始した。
事態を重く見た晴信は、真田幸綱(幸隆)を計見城へ急派し、景虎からの防衛を命じた。
計見城で対峙する二人の名将――長尾景虎と真田幸綱。
そして今、計見城に、三人目の名将が現れる。
(その坂の名)
戦国の武蔵野に覇を唱える北条家。
しかし、足利幕府の名門・扇谷上杉家は大規模な反攻に出て、武蔵野を席巻し、今まさに多摩川を南下しようとしていた。
この危機に、北条家の当主・氏綱は、嫡男・氏康に出陣を命じた。
時に、北条氏康十五歳。彼の初陣であった。
(お化け灯籠)
上野公園には、まるでお化けのように大きい灯籠(とうろう)がある。高さ6.06m、笠石の周囲3.36m。この灯籠を寄進した者を佐久間勝之という。勝之はかつては蒲生氏郷の配下で、伊達政宗とは浅からぬ因縁があった。
文字数 15,178
最終更新日 2024.06.05
登録日 2024.05.31
【あらすじ】
幕末の終わり近く、薩摩と幕府の緊張はこれ以上ないほど高まっていた。折りしも、その薩摩と長州を同盟させることに成功した坂本竜馬は、薩摩と幕府の間の争いを止めるべく奔走する。
そんな竜馬が在京中、ふと、勝海舟に師事した同門の赤松小三郎の私塾――宇宙堂に立ち寄り、ついうとうとと午睡(ひるね)をしてしまい、珍妙な夢を見た。
「赤いきつねと、緑のたぬき!」と、自分――竜馬のような扮装をした男が叫ぶ夢をだ。
【登場人物】
坂本竜馬:薩長同盟の立役者、海援隊隊長
赤松小三郎:薩摩藩軍事指導者、私塾「宇宙堂」主人
中村半次郎:薩摩藩士、小三郎の弟子
中岡慎太郎:土佐藩士、陸援隊隊長
豊玉宗匠:小三郎の句友、だんだら羽織を着ている
????:坂本竜馬に扮装している俳優
【表紙画像】
「ぐったりにゃんこのホームページ」様より
文字数 4,363
最終更新日 2023.06.18
登録日 2023.06.16
十七世紀後期、アフリカの希少部族、マヒ族は奴隷狩りによって滅ぼされた。
生き残ったマヒ族の若き狩人、デンババとカンガの二人はその特殊な能力を認められてオランダへ、さらにカピタンに転売されて日本へと連れてこられた。
江戸で黒人に興味を持った水戸光圀の手によって、彼らは水戸へと赴くこととなる。
だが、光圀には二人に目を付けた理由があった。
水戸藩が建造した巨船「快風丸」に乗せ、蝦夷地(北海道)へ向かわせるためだ。
「石狩アイヌの長老、ハウカセに会え」
それが二人に課せられた密命だった。
快風丸は一路、北へ。
石狩の奥地へ向かった二人は身に覚えのない罪でアイヌたちに捕えられる。
そんな二人を救ったのは「村はずれ」と呼ばれる二人の少女イリカとエマリヤだった。
私利私欲に走る次郎左にそそのかされた急進派のサマイカチはデンババたちと少女二人を抹殺しようと謀る。
四人を襲う危機また危機!
決戦の時が迫る。
デンババたち二人は密命を果たせるのか。
命を狙われた少女たちの運命やいかに。
水戸と北海道を舞台に驚異のアフリカン・パワーが炸裂する!
寒山時代劇アワー・水戸黄門外伝第三弾!
異色のハードボイルド時代冒険活劇、堂々登場!
麺屋寒山、渾身の一品です。
とくとご賞味あれ。
文字数 102,207
最終更新日 2025.08.02
登録日 2025.05.08
『やさぐれ坊主、京を創る ――炎の都に賭けた煩悩仏』のあらすじです(約1180字)。
あらすじ
天正十年六月二日、本能寺の変。
明智光秀の謀反により、織田信忠が二条御所で自刃を覚悟するなか、四十三歳の坊主・前田孫十郎(後の玄以)は、信忠の嫡男・三法師を抱えて炎の京を脱出する。「私はまだ死にとうない」――煩悩まみれの坊主が、たった一人で天下人の孫を守る決死行。
逃げた先の大原で、孫十郎は野盗に襲われたところを、薪を運ぶ女衆「大原女」の頭領・葵に救われる。前歯の欠けた笑顔の葵は、孫十郎にこう言った。「桃源郷、頼んだで」――この一言が、孫十郎の生涯を決定づけた。
清洲会議を経て織田家を継いだのは、孫十郎が長らく「なぜ信長公はあの粗野な男を」と訝っていた羽柴秀吉。しかし秀吉から「ブレーンになれ」と請われた孫十郎は、京の都を桃源郷に造り変える夢に賭けた。
風流踊り、関白相論、聚楽第、お土居、寺町、北野大茶湯――孫十郎、いま玄以は、心の中で毒づきながらも、表情ひとつ変えず、京を造り変えていく。途中、高野山では木食応其上人と運命的に出会い、空海の幻視を見て「大威徳明王の化身」とまで呼ばれる。葵もまた、玄以を守るため伊賀で忍びの修業を積み、くの一の頭領「青葵組」を率いるようになっていた。
しかし、絶頂の裏で、悲劇が始まる。
恩師・古渓宗陳の配流。茶聖・千利休の切腹。関白・豊臣秀次の高野山追放と自刃。聚楽第の破却。朝鮮出兵による民の疲弊。秀吉は権力に取り憑かれ、衆生救済の理想を捨て、暴君と化していく。
そして文禄五年閏七月、京畿を襲った未曾有の大地震。伏見城の天守は崩れ落ち、玄以が応其と心血を注いで建立した方広寺の大仏は、無残に砕け散った。慈悲の御顔に苦悶を浮かべる仏に、秀吉は冷酷に矢を放つ。
「役立たずめ。さっさと片づけよ」
すべてを失い、絶望の炎に飛び込もうとした玄以を、命を懸けて救ったのは、葵だった。「諦めんといてえなあ」――最後の言葉を残して、葵は前歯の欠けた笑顔のまま、息絶える。
四年後、関ヶ原。
玄以は前線に向かわず、ひそかに徳川と通じ、大坂城の留守を預かるのみで動かなかった。豊臣のためでなく、京のために。
「立派な城も、いずれは朽ち果てよう。曼荼羅は、心の中にあるのやも知れへん」
戦国の終焉を見届けた一人の坊主が、煩悩に泣き、笑い、駆け抜けた魂の物語。
ダイナミックに、神秘的に、そして時にコミカルに――歴史の表舞台で輝かなかった「都市の設計者」前田玄以の知られざる生涯を、現代の読者へ。
文字数 42,671
最終更新日 2026.05.09
登録日 2026.05.09
小川の潺(せせらぎ)のような鈴の音が引き寄せる奇縁
寛延四年八月朔日 御庭番・明楽善次郎は御側御用取次・大岡忠光より命を受ける。怪異を得意とする明楽家に下された命は、立て続けに起こる「神社の狛犬壊し」と目安箱に入っていた「狛犬を助けて」という訴えの真意を探ること。善次郎は直下の間諜「潺(せせらぎ)」とともに謎に迫る。事件を追うにつれ、善次郎の敬愛する亡き兄・宇八郎の関わりが浮かび上がる。真相は意外な結末を迎えるが___。江戸伝奇時代劇。
文字数 123,467
最終更新日 2025.07.06
登録日 2025.05.31
【あらすじ】
紀元前251年、シチリア島は第一次ポエニ戦争、すなわちローマとカルタゴの戦場となっていた。
そのシチリア島のパノルムス(現在のパレルモ)において、共和政ローマ執政官(コンスル)メテッルスと、カルタゴの将軍ハスドルバルが対峙する。
ハスドルバルは、カルタゴ自慢の戦象部隊を率いており、メテッルスはこれにどう対抗するのか……。
【登場人物】
メテッルス:ローマの執政官(コンスル)
ファルト:その副官。
カトゥルス、アルビヌス:ファルトと同様に、メテッルスの幕僚。
アルキメデス:シチリア島の自由都市シラクサの学者。
ハスドルバル:カルタゴの将軍。戦象を操る。ハンニバルの兄弟のハズドルバルとは別人。
【表紙画像】
「きまぐれアフター」様より
文字数 10,623
最終更新日 2024.06.05
登録日 2024.05.31
【あらすじ】
薩摩藩の軍事指導を担う赤松小三郎は、信州松平上田藩を出て、広く長崎に江戸にと学び、最終的には英国将校から、英語と兵学を学び、ついには英国歩兵練法を完訳するに至った俊才である。
薩摩藩士・野津道貫の依頼を受け、薩摩藩の京都藩邸において塾を開き、中村半次郎をはじめとする薩摩藩の子弟に、兵学を教え、練兵し、薩摩藩の軍事運用面を徹底的に英式へと転換を図った。
さらに、議会政治の可能性を模索し、越前の松平春嶽に建白書を提出し、また、薩長が武力倒幕を目指しているのを知り、幕府と薩摩の融和を求めて奔走していた。
しかし一方で、その赤松の才を買って、幕府からは招聘され、故郷・上田藩からは帰国を促され、小三郎は進退窮まり、ついに懇望もだしがたく、帰郷を選ぶ。
慶応三年九月三日夕刻――帰郷を目前に控えた赤松小三郎に、薩摩藩の刺客・中村半次郎が忍び寄る。
これは――その半次郎が何故「人斬り」となったのか、それを語る物語である。
【登場人物】
赤松小三郎:英国式兵学の兵学者
中村半次郎:薩摩藩士
小松清廉:薩摩藩家老
西郷吉之助:薩摩藩士、志士
大久保一蔵:薩摩藩士、政客
桂小五郎:長州藩士、政客
大村益次郎:長州藩士、軍人
【表紙画像】
「きまぐれアフター」様より
文字数 10,892
最終更新日 2023.06.15
登録日 2023.06.10
題名『気違いに解釈』とは「気違い(キチガイ)に刃物」という意味である。
『精選版 日本国語大辞典』は「気違いに刃物」について、精神状態が尋常でない人が危険なものを持っていて、非常に危険に思われることのたとえ、と定義する。
建長二年(1250)平河良貞・師時兄弟の父師良が亡くなる。この代替わりによって、平河良貞が平河一族の惣領に就く。代替わりから一年が経とうとする時、肥後国求麻郡永吉庄に構えられていた、平河一族の本館であり、惣領・当主平河良貞の居館「地頭館」に、預所代官が領家発行の下知状を携え、来館した。
用件は、大江広元の預所職を引き継いだ外孫の近衛実春が、平河相伝の永吉庄地頭職を譲り受けたことを伝えるためだった。平河にとっては寝耳に水であり、預所のなした横領行為といえた。
さっそく平河の者たちによる衆議が開催された。一族内には自力による解決を主張する衆もいたが、平河惣領良貞は鎮西探題への提訴によって一所懸命の地である永吉庄の地頭職を取り戻すことを決める。
良貞たちは相論戦術会議を開き、御成敗式目を中心にした分析と検討を始める。その過程で、須恵尼狼藉を咎とした、幕府による永吉庄の南に隣接する須恵庄所領没収の一件および中求麻の地中に眠る、クヌサ国(狗奴国)の宝物が、今回の預所による永吉庄横領に関係があることに気づく。
――代官来館から十年が経った。
鎮西探題から対審の知らせが届く。平川家惣領良貞と住職良円、智次郎美高の三人は、肥後国求麻郡永吉庄地頭館から筑前国博多、鎮西探題へと出立した。
預所近衛実春による恣意的かつ理不尽な気違い解釈が、平河家の人々に対し、相論申し立てから裁決状を受け取るまで実に三十二年にわたる時間、費用、精神的心労を生じさせた。本迷惑千万事件は鎌倉時代に起きたわけであるが、七百年余りたった現在でも、被害者本人とその家族は肉体的、精神的に深い傷を負わされ、あるいは遺族として一生を苦しみ続けていかねばならない凄惨極まる事件が、世界中で起こり続けている。人皮畜生の類い以下である加害者どもに対して憤りを覚える私は、本題名を付けることにした。
史実としての預所側の主張は次のとおり。譲状にみえる荘園名「西村永吉」は、一円という意味で解釈すべきである。もし別々の荘園ならば、『西村幷(ならびに)永吉』と記されているはずである。よって永吉庄の地頭職も預所が譲得することになる。ただ、この気違い預所による解釈では分かりにくさを感じる。そこで本作品では、平河所領を横領した預所側の理不尽な主張の根拠について、「西村永吉」は西村(庄)の内にある地区「永吉(庄)」と解釈するのが自然と言える。よって、西村と永吉は別々の荘園ではなく、一円の荘園である、と現地の実態を調べず、荘園名表記を曲解した気違い預所による解釈に変更した。
文字数 73,794
最終更新日 2026.05.08
登録日 2025.11.09