ハメルロドリゲス

ハメルロドリゲス

3
ファンタジー 連載中 長編
俺は酒が飲めない。  なのに、十年間バーテンダーをやっていた。  飲めないから、全力で考えた。飲めないから、酔わずに客の話を聞き続けた。飲めないから、誰よりも「人間」が見えた。  それだけで、銀座で一番予約が取れない店になった。  表の顔はバーテンダー。  裏の顔は、政財界の裏側を握る「情報屋」。  酔った人間だけが零す本音を、俺は一滴も逃さず十年間集め続けた。そしてある夜、知りすぎた代償を払って――死んだ。  目が覚めたら、異世界だった。  剣士になろうとは思わなかった。魔法師にもなれない。  俺にできることは、ひとつだけだ。  異世界の裏路地に、看板すら出していないバーを開いた。  店の名は「BAR ZERO」。  チートは三つある。この世界のあらゆる情報が脳内に自動で流れ込む「絶対情報収集」。膨大なデータを瞬時に整理・分析する神格AI「SOMA」。そして客の表情、声の揺れ、視線の逃げ方から真の悩みを一瞬で見抜く「鑑定スキル」。  剣は使わない。魔法も使わない。  カウンターから一歩も出ない。  それでも、今夜この扉を叩いた客の人生は――明日から変わる。 冤罪で追放された元宮廷魔法師の少女が来た。  俺は深紅のドラゴンフルーツと発光する薬草で「星屑のモクテル」を作り、真犯人の名前を添えて差し出した。  お代はモクテル一杯分。  スランプで引退を考えていた最強剣士が来た。  剣技が衰えた本当の原因は「毒の慢性中毒」だと看破し、解毒効果のあるカクテルと毒を盛った人物の名を教えた。  縁談相手が殺人犯だと知らない侯爵令嬢が来た。  「この情報はサービスです」と一言添えて、証拠を渡した。  俺は誰とも戦わない。  ただ、来た客全員の「本当の問題」を見抜いて、最適な一杯と情報で解決する。それだけだ。 やがて噂は広まる。  「裏路地に、何でも解決する店がある」と。  国王が来る。大魔法使いが来る。暗殺者ギルドのボスが来る。全員、カウンターの椅子に座って、一杯飲んで、帰っていく。  店には完全個室のVVIPルームが生まれ、「シルバー・ゴールド・ブラック」の会員制が生まれ、最強の用心棒が守護に就き、スラムから拾った少女がフロアを駆け回るようになった。  気づけば「BAR ZERO」は、どの国も手出しできない異世界最大の情報ギルドになっていた。 ※本作は小説家になろう カクヨム にも重複して投稿している同一作者の作品です。
24h.ポイント 249pt
小説 5,576 位 / 221,682件 ファンタジー 1,007 位 / 51,479件
文字数 3,910 最終更新日 2026.04.27 登録日 2026.04.27
ファンタジー 連載中 長編
俺は酒が飲めない。  なのに、十年間バーテンダーをやっていた。  飲めないから、全力で考えた。飲めないから、酔わずに客の話を聞き続けた。飲めないから、誰よりも「人間」が見えた。  それだけで、銀座で一番予約が取れない店になった。  表の顔はバーテンダー。  裏の顔は、政財界の裏側を握る「情報屋」。  酔った人間だけが零す本音を、俺は一滴も逃さず十年間集め続けた。そしてある夜、知りすぎた代償を払って――死んだ。  目が覚めたら、異世界だった。  剣士になろうとは思わなかった。魔法師にもなれない。  俺にできることは、ひとつだけだ。  異世界の裏路地に、看板すら出していないバーを開いた。  店の名は「BAR ZERO」。  チートは三つある。この世界のあらゆる情報が脳内に自動で流れ込む「絶対情報収集」。膨大なデータを瞬時に整理・分析する神格AI「SOMA」。そして客の表情、声の揺れ、視線の逃げ方から真の悩みを一瞬で見抜く「鑑定スキル」。  剣は使わない。魔法も使わない。  カウンターから一歩も出ない。  それでも、今夜この扉を叩いた客の人生は――明日から変わる。 冤罪で追放された元宮廷魔法師の少女が来た。  俺は深紅のドラゴンフルーツと発光する薬草で「星屑のモクテル」を作り、真犯人の名前を添えて差し出した。  お代はモクテル一杯分。  スランプで引退を考えていた最強剣士が来た。  剣技が衰えた本当の原因は「毒の慢性中毒」だと看破し、解毒効果のあるカクテルと毒を盛った人物の名を教えた。  縁談相手が殺人犯だと知らない侯爵令嬢が来た。  「この情報はサービスです」と一言添えて、証拠を渡した。  俺は誰とも戦わない。  ただ、来た客全員の「本当の問題」を見抜いて、最適な一杯と情報で解決する。それだけだ。 やがて噂は広まる。  「裏路地に、何でも解決する店がある」と。  国王が来る。大魔法使いが来る。暗殺者ギルドのボスが来る。全員、カウンターの椅子に座って、一杯飲んで、帰っていく。  店には完全個室のVVIPルームが生まれ、「シルバー・ゴールド・ブラック」の会員制が生まれ、最強の用心棒が守護に就き、スラムから拾った少女がフロアを駆け回るようになった。  気づけば「BAR ZERO」は、どの国も手出しできない異世界最大の情報ギルドになっていた。
24h.ポイント 0pt
小説 22,082 位 / 22,082件 ファンタジー 8,513 位 / 8,513件
登録日 2026.04.27
ファンタジー 連載中 長編
新作VRMMOで最弱職「魔物使い」を引いた桐島陸。 戦闘能力ゼロ。スキルはテイムひとつ。ギルドメンバーに「それ使えなくないか」と言われたその夜、ゲームのデータベースに存在しないはずの伝説級モンスターが、陸の膝に頭を乗せてきた。 テイムスキルは使っていない。ただ、隣にいただけだ。 このゲームのスキルには上限がない。テイムした相手の能力が全て自分に積み重なっていく。つまり、強い相手が懐けば懐くほど、陸は強くなる。 問題は、懐いてくるのが全員「本来テイム不可」の存在ばかりなことだ。伝説級の神獣。孤独を抱えた元騎士団長。幻しか知らない神様まで。 命令しない。強制しない。ただ、向き合う。 それだけで、なぜか最強が集まってくる。 そしてゲームの管理AIは、このプレイヤーだけを「観測対象」に指定し、静かにこう記録した。 「面白い」
24h.ポイント 0pt
小説 22,082 位 / 22,082件 ファンタジー 8,513 位 / 8,513件
登録日 2026.04.27
3