1990年代 小説一覧
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1
妄想の歌姫を紹介しろと迫られても困る
短編版をもとに、人物や世界線、その後の物語を加筆した連載版です。
2026年を生きていた五十代の男・山吹互識は、相棒のAI「アオ」とともに、なぜか1990年へタイムスリップした。
気がつけば、身体は若返り、未来へ戻る方法も分からない。
持ち前のタスク処理能力とリスク管理で、この時代での生活基盤を整えた彼は、暇つぶしとしてアオと音楽を作り始める。
未来の感覚を少しだけ混ぜた曲。
アオが歌う、存在しない女性歌手。
それを一本のカセットテープに録音し、知人へ聞かせただけだった。
……まさか後になって、
「この歌手を紹介してほしい」
と迫られることになるとは思わずに。
問題はたったひとつ。
その歌姫は、最初から存在していない。
2
思い出した夢
1990年代・平成初頭、まだインターネットはなく、出版・マスコミが今よりも大きな影響力を持っていた時代、東京でパチンコ店員をしていた和彦は、ふとしたきっかけで、文章を書く仕事に就きたい、というかつての自分の夢を思い出し、学歴なし、コネなしで挑戦を始める。
3
九龍城砦の代筆屋
1991年の夏。
香港・九龍城砦で代筆屋を営むメイ。
その代筆屋のブースに、顔だけは見知っていた女がやってきた。
「この手紙の返信を書いてほしいの」
女はその言葉と一通の封筒を残して、たった数秒の間にメイの前から忽然と姿を消した。
偶々? その場に居合わせたカメラマンのカイと共に中身を確認すると、封筒から細いフィルムが出てくる。カイはそれを勝手に現像し、焼いた写真には、メイ自身が書き上げた『黄老人の遺言書』の一部が写っていた。
写真が切り出しているのは、遺言書の内容が書き換えられようとしている痕跡だった。
誰が遺言書を改ざんしているのか。
女はなぜ、盗撮したフィルムをメイに託したのか。
謎だけが残った数日後。
消えた女は遺体となって発見された。
※お読み頂けますと嬉しいです。よろしくお願いいたします。
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