艶夜に、ほのめく。

二人にとって私は二番目なのだとしたら、この殺気だった感情は初恋と呼ぼう。


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簡単に落ちる恋だとすれば、簡単に幸せにさせてくれてもいいのに。
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そのまま、艶やかな夜に同化して消えていってしまうんじゃないだろうか。

浮世離れした、どこかミステリアスな上司は、高校時代に彼女が交通事故で亡くなってから本気の恋をしたことがないと言う。

「美琴なら、一緒にいても気楽だな」

そういって私の誘いに乗ったのは、所詮二番目だったから。
私ではなく誰かを思って抱いた癖に、私はそれでもいいかと諦めていた。



「そーゆうの、止めといたら?」

彼の弟が私のやさぐれた気持ちを、ゆっくりと癒していく。
噛みつくようなキスが愛しい。
本当の自分を全て見せた、あの艶やかな夜の香り。


でも次の日に、彼は突然姿を消した。
私の前に現れたのは、記憶を無くして別人になってからだ。


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上司兼婚約者
賢木 泉(さかき いずみ)29歳
×
巫 美琴(かんなぎ みこと)26歳
×
泉の弟
賢木 遊馬(さかき あすま)25歳
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表紙はフリイラお借りしています。
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